日中戦争はいつ起きるか。中国のアジア政策は、穏北、保東、争南の三つからなる。穏北とは韓国と北朝鮮のあいだでバランス外交を展開するということ、保東とは尖閣諸島と台湾を奪回すること、争南とは国際裁判などで面倒なことがないようにASEAN諸国にも利益を残す、ということだ。尖閣を奪うことは至上命題であり、譲歩の余地はない。尖閣で武力衝突が起きれば本格的な戦争になる。
中国では領土保全・拡張に貢献する人間こそが民族の英雄になり、その名は永遠に後世に伝えられる。習近平は尖閣諸島と台湾を取りにくる。これは絶対に間違いない。まず台湾である。国際世論の圧力はあるものの、内政問題だと言い切る。尖閣のように日本との戦争になるおそれがない。台湾はどこの国とも軍事同盟を結んでいないからだ。習近平はこの偉業で民族の英雄となる。
戦争で生活レベルが大幅に後退したとしても、国民の大多数は習近平の「台湾解放戦争」を支持する。台湾統一に関して、中国人はとりわけ好戦的なのだ。このチャンスを習近平が他の誰かに譲るはずがない。新中国を創立した毛沢東よりも、台湾を解放し祖国を統一させる人間はもっと偉いのだと誰もが考える。
中国建国100周年の2049年まで30年あまり。それまでに台湾侵略は必ずある。著者の予測では、早ければ5年以内、遅くとも10~15年以内だ。台湾占領後に動乱期があることを考えれば、軍事行動は早期に終わらせなければならない。10年後の習近平は74歳、それ以上時間がかかると指揮力も衰えていくからだ。
強欲において習近平は毛沢東と似ているが、毛沢東以上に野心と権力欲がある。「一帯一路」は無謀な計画で莫大なリスクがともなう。習近平自身、おそらくそれほど期待していない。後世に残る偉大な業績にはならないからだ。自負と決意は尖閣諸島と台湾を取ることにある。日中戦争は必至のようだ。
編集長 柴田忠男
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