文科省から不当な圧力。前川氏を許すことのできない黒幕は誰なのか

 

萩生田氏は福田内閣と麻生内閣で文科大臣政務官をつとめていたことや、押しの強い性格もあって、いまだ同省に睨みをきかせている。その力がバックにあるからこそ自民党文教族が今回のようにやりたい放題できるのである。前川氏の社会的活動を妨害する目的で文科省を使ったとすれば悪質きわまりない。

萩生田氏や赤池、池田両氏は、安倍首相と同様、戦前風の道徳教育への回帰をめざしているお仲間”たちだ。本来なら、いくら彼らから圧力がかかっても文科省が無視すればいいだけのこと。今やその程度の気概さえ失われているようだ。

加計学園獣医学部新設をめぐり萩生田氏が暗躍したこともよく知られている。

2016年10月21日、官房副長官だった萩生田氏は文科省の常盤豊高等教育局長に、獣医学部認可を急ぐよう圧力をかけた。

「農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている。何が問題なのか。官邸は絶対やると言っている」「総理は、平成30年4月開学とおしりを切っていた。工期は24ヶ月でやる」

獣医学部新設に慎重だった前川事務次官がいわゆる“石破四条件”を盾に抵抗するのをみて、萩生田氏が総理の意向を示し押し切ろうとしたものだ。

萩生田氏はいうまでもなく、今井尚哉総理秘書官と並ぶ、安倍首相の側近中の側近だ。加計学園系列の千葉科学大名誉客員教授でもある。

その萩生田氏にとって、前川氏は許すことのできない存在であろう。「総理のご意向」文書について前川氏が証言したことから、加計学園疑惑に一気に火がつき、萩生田氏自身の関与も追及されることになったからだ。

なにより、事務次官という政府の要職にあった者が、安倍首相の政治に異を唱えるなど、萩生田氏のメンタリティからして、我慢ならないことに違いない。安倍首相への彼の忠誠心は比類なきものに見える。

おそらく萩生田氏のシナリオでは、読売新聞にでっち上げられた出会い系バー通いの記事で前川氏が失脚するはずだったであろう。

ところが、それどころか前川氏は論旨明快な国会での説明などを経て、逆に多くの国民から勇気を讃えられる存在になった。おまけに、各地での講演のたびに、加計学園問題はもちろんのこと、憲法や安保などについて安倍政権の姿勢を批判している。

思惑が外れた萩生田氏とその仲間たちは前川氏の社会活動に激しい敵意を抱いているのではないか。今回の教育介入事件は、その怨念の噴出と捉えることもできよう。

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