優秀な店員ほど「客離れ」が起きる。プロが明かした明確な理由

 

例えば、お客様から「肩こりがひどくて辛いんです」という要望があった時。

1人のマッサージ師は、「それは姿勢が悪いからですね。正しい姿勢を取り戻せば肩こりは楽になりますよ」と伝えて、姿勢を戻すための施術をしていました。対してもう1人のマッサージ師は、「それは辛いですよね。じゃあ先に少し肩周りをやりますね。でも、姿勢が悪いのがいちばんの原因なので、肩をやったら正しい姿勢にするために別の施術もします」と伝えて、肩と姿勢を戻すための施術をしていました。

どちらも決して間違ったアプローチではないのですが、指名数が圧倒的に多かったのは、後者のマッサージ師でした。要は、指名数の違いは、お客様の要望を最優先しているかどうかだったんですね。

これは、その世界のプロであればあるほど、起こってしまう現象です。業界に長くいて、その道のプロになっていくにつれて、原因は別のところにあることがわかってきます。ファッションの世界で言うなら、「色の使い方がわからなくてダサくなってしまう」というお客様の原因は、実は色づかいどうこうの話ではなく、そもそもサイズの選び方から間違っているという場合があるかもしれません。たとえ色づかいが上達したとしても、全然サイズの合っていない洋服を着ている限りは、一向にオシャレには見えないわけです。だから、プロであればあるほど、「色づかいよりもサイズの選び方を変えないと」と言ってしまいたくなります。

でも、お客様の要望は、「色づかいなんです

たとえサイズの選び方が大事だということが正論だとしても、お客様の要望を置き去りにして、話を進めてしまうと、お客様の中ではモヤモヤが溜まってしまいます

「私の要望は無視されているのかしら」
「色づかいについてはどうなんだろう」

といった、何とも言えない疑問が残ってしまうんですね。それが影響して、「この人は私の話を聞いてくれない」と受け取られてしまうのです。

先ほどのマッサージ師のことを思い出してください。もしあなたが、肩こりが辛くてマッサージ屋に行った時、そのことを伝えているにも関わらず、「原因は別のところなので、そっちをやりますね」と、肩を揉んでもらえなかったらどう感じるでしょうか?

「原因はわかるけど、辛いのは肩なんだから…」

と、不満を感じてしまいそうな気がしませんか? 自分の要望を置き去りにされてしまったお客様は、やっぱりその販売員のことを信用できません

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