金正恩の訪中をテレビで知った安倍首相の失態と底が見えた外交力

2018.04.03
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3.核放棄? 核凍結?

安倍首相は、核開発という違法行為に手を染めているのは北なのだから、北がまず一方的かつ全面的に核を放棄するのでなければ交渉も何もありえないという「核放棄」論の立場だけれども、北はもちろん韓国も中国もロシアも、さらに米国の外交政策担当者や議会の大勢も(ボルトンがホワイトハウス中枢に入ってくるとどうなるか分からないとはいえ)そう考えてはおらず、当面の出発点は「核凍結で十分だという考えである。

単純な話、米国はこれまで、中国、イスラエル、インド、パキスタンなど、いつの間にか核武装してしまった国々に対して、核放棄はもちろん、核凍結さえ求めたことはない。なぜ北朝鮮に対してだけそうしなければならないのか、合理的な説明は付かない。

これに関連して、「短・中距離ミサイルだけ取り残される」という議論がある。米国が関心あるのは米本土に到達可能な大陸間弾道弾の全き完成を阻むことにあって、北がそれを放棄しさえすれば、これまでに蓄えた核弾頭と短・中距離ミサイルの保有は許容するのではないかというのが、安倍首相が取り憑かれている日本=置き去り不安の1つである。

これは混濁した議論で、第1に、確かに米本土を直接狙える長距離ミサイル(ICBM)は米国にとって脅威となりうるけれども、中距離ミサイル(IRBM)でもアラスカ、ハワイ、グアム、日本・沖縄、フィリピンなどの米軍拠点は狙えるので、長距離ミサイルさえ抑えればいいとは米国自身が思っていない

第2に、北は米本土に核ミサイルを撃ち込みたいという狂気に取り憑かれているからそれを開発しているのではなくて、米国との間に仮初めの抑止関係を形成して、一刻も早く1953年朝鮮休戦協定を平和協定に置き換える交渉をたぐり寄せたい。平和協定が成れば、北が食うや食わずの状態で核開発に励まなければならない理由そのものが消滅する。

第3に、脅威とは能力×意思であって、北が日本に届く核弾頭搭載可能な中距離ミサイル能力を保持したとして、何もない時にいきなり日本にそれを撃ち込む意思を持っているかというと、持っていない。そんなことをする戦略的利益が何もないからである。もっと言えば、北は日本にそれほどの関心を持っていなくて、安倍首相が「北が虎視眈々とミサイル撃ち込みを狙っている」と怯えているとすれば、それは自意識過剰の思い込みでしかない。

第4に、では北の核ミサイルが日本に撃ち込まれる可能性はないのかと言えば、大いにあって、それは米朝間で戦争が起きた場合に、米軍の出撃・補給・修理基地となる在日米軍基地と、15年安保法制によって集団的自衛権を発動してその米軍と共同作戦を展開しようとする自衛隊基地とを壊滅させるためである。逆に、戦争にならなければ米日の在日基地が攻撃対象となることはない

ところで、第5に、米朝戦争はどのようにして起きるかと言えば、北が自分の方から仕掛けることは自殺行為なので100%あり得ず、トランプ政権の気紛れ的な先制攻撃か、双方が意図しない不測の偶発的衝突かのどちらかである。従って、米国が間違っても戦争を始めないように、また不必要な緊張を高めるような軍事圧力をかけないように抑え込むことが、北の対日攻撃を防ぐための最善策となる。しかし、その正反対をやってきたのが安倍首相である。

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