なぜ今、無印良品は高級食材の店舗を出店したのか?
なぜ、この段階で無印良品は堺北花田店を、高級食材を扱う大規模店にしたのだろうか?
日本経済新聞3月20日の記事によると、理由は2つ。
まずは、来店機会を増やすこと。
雑貨などが中心だと、顧客の来店頻度は、月に1~2回。
しかし、食品を扱うことで、週数回の来店を促すことを狙っているとのこと。
もう1点が、質の高さをアピールしたいという方針だ。
そもそも、生産者が明確な食材は、無印良品の「安心・安全」というイメージを、アピールするにはもってこいのカテゴリーと言える。
この背景には、「いい商品であれば、少しくらい高くても、安心できるから欲しい」という価値観を持った顧客層を狙う、ということがあると推測される。
商売において、顧客単価を上げることと、営業利益を上げることは重要。
実際に、海外での無印良品のイメージは「MUJI」というブランド名で高く評価されている。
営業利益に関しても、東アジアでは18%と、日本の10%を大きく上回る。
1月にオープンした中国のホテルも、当地ではかなり話題になっていると聞く。
無印良品をブランド的に解剖すると
ブランドをマネジメントしていく上で、考えるべき点がいかに示すように4つある。
(Keller氏のStrategic Brand Managementを参考)
1. 認知されているか
2. 見た目の価値はあるか
3. 顧客との関連性は強いか
4. 顧客が忠誠心を持っているか
日本国内の無印良品については、
1. の認知度はかなり高いと言える。
2. の「見た目の価値」とは、顧客から見たときに、イメージが良いか、価格に見合う価値を持っているか、という尺度になる。
安心・安全な商品というイメージは確立できているが、こと食材において、価格に見合う価値を感じてもらうのは、これからが勝負、ということになる。
この点は相対的なもので、例えば、デパ地下などの生鮮食品売り場が、直接的な競合になるであろう。
3. の顧客との関連性とは、顧客から見て「あ、これは自分の好きなブランドだ」という、顧客とブランドの間の距離感のことだ。
情緒的、感覚的な側面に加えて、判断できる基準があると、無印の高級食材は美味しく安全だから、少しくらい高くてもいいので、デパ地下でなく無印で買いたい、という選ばれ方になる。
最後の忠誠心は、読んで字のごとく、他社に浮気をされないかどうか、自社で買い続けてもらえるのか、という点に当たる。
ブランドマネジメントの目的は、顧客の量的かつ質的な忠誠心の向上を目指す。
量的とは、購買頻度や来店頻度、質的には、心情的にいつも無印を思い出してもらえるかどうか、また、人に勧めたくなるか、といった尺度になる。