イラストレーターに「タダで絵を描いて」問題は、なぜNGなのか?

shutterstock_586385444
 

定期的にSNS上で話題にあがる、イラストレーターやライターさんが「ファンの方等から無料で絵や文章を要求されて困惑している」という話題。今回の無料メルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』では著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が、ネット上でも意見が分かれるこの話題をきっかけにして、「コツコツ積み重ねることの重要性」を説いています。

イラストレーターにはタダで絵を描いてもらうべき? 1万時間の法則

時々ネットで、イラストレーターの方が、「ファンの人に、『タダでイラストを描いてください!と言われて困っている」という書き込みや、そのやりとりを公開してる事例があります。

そういうのを見るたびに、思い出す話があります。

ピカソと100万ドルの絵

かの画家ピカソは、レストランで、ある女性に声を掛けられました。

「ピカソさん!? 私、あなたのファンなんです! 良かったらこのハンカチに、絵を描いてくださいませんか!?」

ピカソはすぐに、そのハンカチに、サラサラッと小さな絵を描きました。簡単なものでしたが、ピカソならではの素晴らしい絵でした。喜んで受け取ろうとする女性に、ピカソは言います。

「この絵の値段は100万ドルです」

女性は耳を疑います。

「そんな!? 今、30秒くらいで描かれたじゃありませんか!? たった30秒でその値段はおかしくないですか!?」

するとピカソは首を振りながら言いました。

「いえ。30年と30秒です」

すなわち今この場で簡単に描いたように思えますが、そこに至るまでに30年の経験が必要だった…というわけです。

もちろん、いや、

「ファンサービスと思いきや、描いた上で請求するの、かわいそうじゃない!?」
「そもそも100万ドル払えないとハンカチも返ってこなくない!?」

みたいなツッコミはあるので、どこまで本当か分かりませんが、とても面白い話だと思います。

実際に心理学では「1万時間の法則」というものがあります。これは、心理学者アンダーズ・エリクソンが、ピアノやテニスなど、あらゆる分野でのプロを調べた結果、「すべてのプロは、みんな1万時間にわたってそれについて練習していた」というものです。一切、例外はありませんでした。1万時間より少ない練習時間で、それこそ「才能だけでプロになった人はいなかったのです。

結局、「ただひたすらやり続けたかどうか」。それだけなのです。

print
いま読まれてます

  • イラストレーターに「タダで絵を描いて」問題は、なぜNGなのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け