そんな道下さんの心の支えになっているのが「耐えるもの必ず志を得る」でした。
盲学校を卒業後に勤めた鍼灸院に西森芳夫院長という全盲の方がいらっしゃいました。かつて戦場で爆雷にあって視力を失い、戦後の動乱期におけるどんな逆境にも耐え抜く中で、鍼灸師という道を一心に歩んできた先生です。
御年90にしてなお意気軒昂でいらした西森先生に教わったのが、「耐えるもの必ず志を得る」という言葉でした。どんな逆境に遭っても、投げ出さずに耐え忍べば、必ずその先に光が見えてくる──。
障碍者にとっての日常は、耐えることの連続です。その中にあって何があろうと、時を待てるようになったのはこの言葉のおかげでした。
道下さんの直向きな歩みに、どんな逆境に遭っても、決して諦めることなく、前を向いて歩き続けることの大切さを教えられます。
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