柳瀬元秘書官が加計学園関係者との面会を認めざるを得なかった訳

 

田村議員はあえて官邸の獣医学部新設に対する熱意を関連省庁に示したことにならないのか、それは官邸の圧力として働かなかったのか、という疑問のもとに質問したのであろう。

これに対して安倍首相は、質問の趣旨を無視し、その日の集中審議のために用意したメモを、以下のように読み上げた。この内容は、他の議員たちの質問にも、同じように繰り返されてきたものだ。

「特区プロセスは民間有識者が主導して進められる。参考人質疑でも八田座長は、柳瀬秘書官から何の働きかけも受けたことはないと言っている。面会の半年以上前の時点ですでに民間議員ペーパーで獣医学部新設が重要と明記されている。面会が民間有識者の議論に影響を与えたことは一切ないと承知しており、こうした観点から問題はないと考えている

柳瀬氏が加計学園幹部と会ったことは、特区を審議する有識者の諮問会議の議論に全く影響を与えていない。ゆえに、何ら問題はない、というのが安倍首相の見解だ。

しかし、田村議員は柳瀬氏が有識者会議に何らかの働きかけをしたかどうかを問うているのではない。官邸内に、まだ事業者と決まっていない加計学園と、特区申請すらしていない愛媛県、今治市の幹部を呼び込み、関連省庁から出向している内閣府の官僚たちを集めて会合を開いたことの異常性を問題にしているのだ。

柳瀬氏はこの件について安倍首相なり、今井尚哉首席秘書官から指示を受けていないし報告もしていないという。

そのことを14日の集中審議で「ありえない」と野党議員に問いただされた安倍首相の答弁も、もっともらしく用意されてはいたが、ごまかそうとする意図は見え透いている。

「秘書官は日々多くの来客がある。私自身、毎日分刻みでスケジュールをこなすなか、秘書官への来客について報告を受けることはない。報告を受けるのは国家の重大事など、私がなんらかの判断をする必要があるときだけだ」

こんな小さなことに関心はない、天下国家のことしか頭にないのだ、とでも言いたげだ。それならなぜ加計学園の獣医学部新設が国家戦略なのか、と問いたい。

そのうえ、柳瀬氏と加計学園の15年4月2日の面会について安倍首相が知ったのは「この(今年の)ゴールデンウィーク中今井秘書官から聞いて」と言うから、あきれてしまう。

柳瀬氏もまた、今井氏に加計学園と面会したことを明かしたのは昨年7月の国会集中審議の前だったと不自然なことを言う。すべて今井氏の了解のもとに動いていたはずだ。

愛媛県や今治市の職員との面会を追及され「記憶をたどる限りお会いしていない」と強弁し続けてきたものの、朝日新聞のスクープで愛媛県職員の面会記録が出てきたため、急きょ、今井秘書官らと相談して「加計学園とは面会したが、他は記憶にない」にすり替えたにちがいない。

print
いま読まれてます

  • 柳瀬元秘書官が加計学園関係者との面会を認めざるを得なかった訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け