現役医師が明かす、信頼できる医者かどうかを見分ける簡単な方法

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風邪っぽいけどもっと重い病気かも、と不安になる咳や喉の症状に罹患したこと、誰しも一度は経験したことがあるかと思います。しかし、風邪の症状が一向に快方へ向わず、医師の判断は本当に正しかったのかと疑いの目を向けてしまう方もいるのではないでしょうか。そこで、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田安春先生が、風邪とまぎらわしい症状が出たときの医師の対応で、その医師の信頼度が判る、と明かしています。

初診時に風邪とまぎらわしい病気

風邪に対して抗菌薬は効きません。また、不必要な抗菌薬の使用を減らすことは、薬剤耐性菌の出現予防に大切です。これより、シンプルな三段論法によって、風邪に対して抗菌薬はなるべく使わないほうがよい、ことになります。しかし、患者や医師にとって最大の問題は、今ある症状が本当に風邪によるものかどうかだと思います。

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風邪と紛らわしい病気には、実際は抗菌薬が効く病気がいろいろあります。鼻水が出る病気で、重症の副鼻腔炎の場合は抗菌薬が効きます。喉が痛くなる病気で、細菌性咽頭炎の場合も抗菌薬の効果があります。咳が出る病気で、細菌性肺炎ではもちろん抗菌薬が必要となります。問題は、これらの病気が、少なくとも初期の段階においては、風邪と紛らわしいこと、なのです。

透明な鼻水、喉の痛み、乾咳があって、比較的元気であり、診察では喉が赤く呼吸数は正常、聴診で呼吸の音は清らか、というのが風邪の典型例です。このような典型例では、通常は検査も不要で、風邪と診断することが多いです。もちろん、抗菌薬は不要となり、通院での経過観察も特に不要となります。鼻水や咽頭痛、咳、発熱などに対して対症療法を行う程度です。

初診時に迷うときには経過観察

風邪かなぁ、と思っても、現実の医療の現場では非典型ケースも多いです。透明な鼻水、喉の痛み、乾咳が全てあり、診察では喉が赤くて呼吸数は正常、聴診で呼吸の音は清らか、であれば強い確信を持って風邪と言えますが、患者さんはさまざまなパターンの症状で訪れます。咳の症状のいずれか一つのみのこともあります。血液や画像の検査を行うことで、風邪以外の病気の可能性を低くすることもできますが、それでも完全に除外することはできません

実は、血液や画像などの検査以上に、風邪と風邪以外の病気を見分けることができる、信頼性と確実性の高い方法があります。それは、時間を利用することです。時間の経過で症状の変化をみていくと、風邪と風邪以外の病気かどうかはほとんど確実にわかってきます。つまり、抗菌薬が必要な病気が明らかでないときには、まずは様子をみましょう、と言い経過観察をすることです。症状の増強があって、抗菌薬が必要な病気の可能性が出てきたときになってから抗菌薬を処方する戦略です。

これは時間軸を利用した線の医療であり、初診時のワンポイントのみで判断する点の医療より、信頼性と確実性が高くなります。風邪の疑いに対するこのような線の医療を延期処方といいます。ここで心配になるのは、延期処方は安全か、ということです。もしも風邪以外の病気のことが多くて、抗菌薬無しで経過観察することにより、重症となって入院したり、仕事や学校を休む期間が長くなるのであれば、安全な医療スタイルとはいえません。

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