キャサリン妃「出産直後の退院」に驚く日本人が知らぬ意外な病名

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産後の入院期間が初産で平均5〜6日という日本。英国王室のキャサリン妃が産後すぐ退院したのを知って、驚いた人も多いのではないでしょうか。しかし、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田安春先生は「出産直後の長期臥床は、エコノミークラス症候群のリスクがある」と断言。その意外な理由について詳しく解説しています。

出産直後の退院に驚く日本のメディア

最近、英国の王室の家族で出産がありました。出産後7時間で病院から退院する姿が全世界に向けて放映されていました。日本でも、NHKを始めとしたメディアが、出産後直ちに退院する元気な姿の母親を映し、アナウンサーが驚いていました。

日本では、出産後数日は入院していることが多いので、出産直後に退院している姿を見て驚いている人々もテレビに写されていました。欧米では出産後直ちに退院するのが当たり前となっています。なぜなら、出産直後の長期臥床は急性肺血栓塞栓症のリスクとなるからです。

医療事故調査制度に基づき、日本医療安全調査機構が院内調査として年間数百例の死亡事例を分析しています。このうち、繰り返し発生している同様事象については、重要な分析課題として再発防止に向けた提言としてのレポートを発行しています。これまで提言の対象となった事象には急性肺血栓塞栓症が含まれています。その理由として、死亡事例が8例もあったからです。

肺血栓塞栓症とは、下肢または骨盤等の深部にできた静脈血栓が、静脈系を流れて肺に到達した結果、肺動脈を閉塞し肺循環障害が起こる病態です。急性肺血栓塞栓症は急激にこの肺循環障害が起きる病態です。下肢の深い筋膜よりさらに深部を走行する静脈を深部静脈と呼び、そこに血栓が起きる病態を深部静脈血栓症と呼んでいます。肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症はほぼ同じ病態で起こるため、両方を合わせて静脈血栓塞栓症とも呼ばれます。

増えている急性肺血栓塞栓症

急性肺血栓塞栓症は、特別な早期症状がなく突然発症し死に至る確率の高い疾患の1つです。2000年のシドニーオリンピックを観戦した後の長時間フライトの後に若年の女性が肺血栓塞栓症を発症してエコノミークラス症候群として知られるようになりました。また、日本のサッカー選手が国外遠征した直後に発症し、広く報道されました。

さらには、2000年代に入って大きな地震が起きた際に、車中泊などの狭い場所で避難生活を送る被災者にこの病気が発症することはよく知られています。これまで日本においては頻度の低い病気と考えられていましたが、生活習慣の欧米化などに伴って発症数が増加しています。

急性肺血栓塞栓症は、血栓ができやすい因子のいくつかが重なり発症します。これらの因子には血流停滞血管内皮障害血液凝固の亢進があります。血流停滞には、長期臥床、肥満、全身麻酔、下肢の麻痺、下肢ギプス包帯固定などがあります。血管内皮障害には、各種の手術、外傷、骨折、中心静脈カテーテル留置などによる静脈の損傷があります。血液凝固の亢進には、悪性腫瘍、妊娠、各種手術、外傷、経口避妊薬やエストロゲン製剤などの薬物の内服、感染症などがあります。

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