なぜ「昭和の専業主婦」は、国民年金に強制加入されなかったのか

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昭和61年4月施行の大改正で大きく変わった年金制度。実はその時点までは、会社員や公務員の専業主婦は国民年金には強制加入ではなく任意での加入でした。なぜ強制加入とされてこなかったのでしょうか。そして年金大改正時に強制加入となった理由は? 今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』で年金アドバイザーのhirokiさんが、その謎を明らかにしています。

どうして昭和の時代のサラリーマンの専業主婦を国民年金に強制加入させなかったのか?

国民年金は昭和34年4月にできましたが、昭和36年4月からは20歳以上で60歳未満の人が厚生年金にも共済年金にも加入していない人が強制的に加入するものになりました。その国民年金は昭和61年4月からどんな業種であろうが20歳以上で60歳未満は国民年金に加入するという形になりました(昼間学生は平成3年4月から)。これにより、どんな人でも自分名義で将来は基礎年金を受け取るという形になったんです。

昭和61年4月からその基礎年金制度ができたんですが、それまではサラリーマンや公務員の専業主婦(主夫)の人や学生は国民年金には強制加入ではありませんでした。つまり加入してもしなくてもいいという「任意の加入」だったんですね。

まあ学生は保険料を納める能力が高くないという事で任意で構いませんって理由ですが、サラリーマンや公務員の専業主婦はなぜ強制加入にしなかったのか。厚生年金っていうのは自分だけの保障をするものではなく、世帯ひっくるめて保障する年金だったからです。

だから、厚生年金には配偶者加給年金(今年度は389,800円)が付いたり、また、夫が死亡しても遺族厚生年金として妻の生活保障が行われる。つまり、世帯の面倒を見る年金だったからわざわざ専業主婦の人を国民年金に強制加入させる必要は無いだろうという事で任意加入とされました。

しかしこのままだと離婚した時には妻は将来は何の年金も出ない事になりますよね。また、年金に加入してないから万が一障害を負った時に障害年金の請求が不可になってしまう。よって、昭和61年4月からそういう専業主婦も強制的に国民年金に加入させて、老齢になっても将来は自分の名義で年金が受け取れるようになった。

この人達は国民年金第3号被保険者と呼ばれる。もう今まで何度も言ってきた事なのでそんなの知ってるよ! っていう読者様は多いかもしれませんが(笑)今は910万人くらい。

だから、本来なら夫の厚生年金に配偶者加給年金を終身付ける必要は無くなり、妻が65歳になれば妻自身名義で老齢基礎年金(満額779,300円)が受け取れるから配偶者加給年金は妻が65歳以上になった時は消滅させることにした。

なお、国民年金に強制加入させるといっても自ら保険料を納めてもらうわけではなく、厚生年金から拠出金という形でその妻の基礎年金の費用を賄ってる。簡単に言うと、厚生年金保険料の中に専業主婦の国民年金保険料の分が含まれてるような形。といっても、夫一人分の厚生年金保険料支払えば済む事。

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