そして、もう一つ重要な情報提供があります。保健所は登記簿から区分所有者は調べますが、賃借人や外部区分所有者に管理を委託されている管理会社は調べられません。特に所有者が外国人の場合、この情報は絶対に必要です。管理組合がこれらの情報を提供できることは大きいのです。そして、これも「名簿の取扱い細則」等で、外部に情報を提供できる場合を制限していると思いますから、保健所や警察に情報提供できる規定にしておくことが必要になります。
ヤミ民をやめさせるには、段階を踏んだ手続きに一定の時間は必要ですが、措置を行うのに十分な情報がそろっていれば、迅速に対応してもらえることにつながります。ぜひ、この辺も管理組合で検討してください。
今、インターネット上の民泊サイトの物件のほとんどはヤミ民泊です。6月15日にいっせいにこれらの物件がサイトから消えるか…なかなかそうは思えません。すでに、明らかにヤミ民泊の物件の予約カレンダーには、来年までの予約がぎっしり入っているものも少なくないのです。
もしオーナー都合で宿泊をキャンセルすれば、重いペナルティが課せられます。ヤミ民泊事業者の多くは、行政の取り締まりの本気度と、大手民泊サイトの出方を見ながら、ばれないようにゲストと口裏を合わせて違法民泊を続け、いよいよこれ以上は危ない、刑罰を受けると言うタイミングで撤退しようと様子を見ているのかもしれません。すでに、ネット上には、世逃げのように、民泊撤退を請け負う会社ができています。明日、立入調査となったら、一夜で民泊の痕跡を消すというのでしょう。
ヤミ民泊オーナーは、今、心穏やかではないはずです。でも…こんな嘘で固めた違法行為で儲けたいと思う企業やオーナーが存在し、せっかくの旅行を、こんな犯罪に加担するような口裏合わせで、安く済ませようという旅行者が後を絶たない…という現実に、なんとも言えない危うさを感じてしまいました。
飯田さんも最後に言っていましたが、空いている家、部屋を旅行者に安く提供し、旅行を楽しんでもらおう…そういった本来の趣旨の民泊は、悪いものではないのです。人の迷惑を考えず、違法行為を嘘で乗り切り、とにかく儲けた者が勝ち…という、風潮が悪いのです。
こういう人たちを、次世代のリーダーのように扱うのは、絶対にやめたいと思います。
image by: Shutterstock.com