どうして「いじめ報告書」という制度があるのかというと、それは、
「被害があった場合には、徹底的に事実を究明する」
「類似の事件の再発を防止する」
という目的があるからです。ですから、報告書の運用に当たっては、
「事実関係は細大漏らさず記録する」
「疑わしきは調査を徹底する」
ということになるはずです。それが、「遺族対応が大変だから」とか「事務が煩雑になる」ということで「事実を記した文書の隠蔽」が起きてしまうというのは、次のような原因があると思われます。
「組織に必要なノウハウとパワーが足りない」
「責任者がネガティブ情報を受け付けない」
ということです。これは完全にリーダーシップの問題であると思います。その指導主事も困った人物ですが、その人物をそのように追い込んだのは教育長でしょう。それはその人がいい人だとか、悪い人だという問題ではなく、リーダーシップの意味を全く分かっていないということだと思います。
日本社会が変革期を迎える中で、親も子も、そして教師も含めてどのように子供を育てていいのか、子供はどのように自分が成長すればいいのか、大変な試行錯誤をしているわけです。そのような教育現場に対して、教育委員会というのは、それこそ現場が働きやすいように縁の下の力持ちとして必死の努力をしていかなくてはならない、そのような組織であると思います。そして、全国の多くの教委はそのような姿勢で仕事をしていると思います。
ですが、この組織はそうではなかったのです。ということは、この組織が抱えている問題は「タテ割り」組織の弊害というのではなく、「タテ組織」の弊害、つまりリーダーシップの問題ではないかと思うのです。
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