「認める」という字は、「言うのを忍ぶ」と書きます。お店のメンバーを育成し、成長を促すことは、まず彼らを認めることから始まります。つまり未熟な行動や応対に口を出したい気持ちをぐっと抑え、見守ることも大事なのです。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さんが、部下を育てる「気づき」の効果を解説しています。
なんでも自分でやってしまう店長さんへ
「指示しないと動かないんですよねえ~」とは、社長さんや店長さんからよく相談される課題。確かに、「指示待ち」だと仕事が遅れるし、お店の営業中だとタイムリーに仕事ができず、それがお客様の不満足に繋がったりしてしまいますからね。ただ、「指示しないと動かないんです」という人ほど、その人自身に問題の原因がある場合が多い、っていう事実も受け止めるべきでしょう。
なぜ、「指示待ち」にしてしまっているかと言えば、「指示しないと動けない」状態にしてしまっているから。すべて自分でやらないと気が済まない人や部下(アルバイト含め)を信用しきれない人は、どうしても「指示」しちゃうんですね。部下からすると、指示どおりやんないと怒られる可能性もあるでしょうし、上司自らがやってしまうことも多いでしょうから、どうしても「指示」を待ってしまうのです。
逆の見方をすれば、「仕事ができる人」ほど、こういう状態を招きやすいということも言えますね(こういう人ほど、プレイヤーとしてはすごいけど、マネージャーとしてはイマイチなんて人が多いですね)。
だけど、一人でできることは限りがあるし、また、部下の立場からすれば、「自分が信用されてない」と感じるでしょうし、仕事もどうしても「無難に誰もができそうなこと」しかやらされないので、仕事自体を楽しむこともできないでしょう。
では、どんな工夫をすればよいか? 基本は相手に「気づかせる」ことを意識するといいでしょう。
例えば、接客でいえば、「気づかない」から「行動出来ない」って言えます。お客様が求めている事、忙しい時に今何をすべきかなど、「気づかない」「分からない」からこそ行動出来ず、これを上司が見ると、どうしても「次、あれやって!」なんて指示をしてしまう。
もちろん、ドピークの時は「お客様が最優先」ですから仕方ありませんが、普段の営業では、指示するのではなく、自分ができていないところに気づいたら、
「うん?なんかあのテーブルやること忘れてない?」
「今、お客さんが何を求めてると思う?」
と相手に気づかせるような声掛けをしてあげるといいでしょう。