スシローとかっぱ寿司は客数が回復傾向にあるのに対し、くら寿司が客数の面で苦戦しているのはなぜなのでしょうか。様々な要因が考えられますが、くら寿司のサイドメニューの優位性が低下したことが大きく影響していると考えられます。
かつて、サイドメニューの充実度においてくら寿司は他を圧倒していました。12年ごろからサイドメニューを強化しており、12年にラーメンを販売したほか、13年には天丼とうな丼を、14年には豚丼、15年にはカレーライス、16年にはカレーうどんや牛丼を売り出しています。
サイドメニューではくら寿司が独走していましたが、次第に競合が追随するようになりました。
スシローは14年4月からラーメンを販売するなどサイドメニューの強化に舵をきりました。14年4月発売の「出汁入り鶏がら醤油ラーメン」は発売1カ月で100万食以上を売り上げたといいます。最近では、17年11月にスイーツ強化の取り組みとして「スシローカフェ部」を発足し、若い女性らの取り込みを図っています。
はま寿司は13年2月からラーメンを売り出しました。はま寿司はサイドメニューでは特にラーメンに注力しており、次々と新ラーメンを投入しています。はま寿司のラーメンは人気を博しており、たとえば、15年8月から販売した「旨だし鶏塩ラーメン」は15年に100万食以上、16年は160万食以上を約2カ月間で売り上げるほどの大ヒットメニューとなっています。
かっぱ寿司もラーメンやうどんなどのサイドメニューを販売しています。ただ、かっぱ寿司のサイドメニューの充実度はそれほどでもなく、充実化はこれからとなりそうです。先述したとおり4月に「カッパのハンバーグ」を販売したほか、5月に「白いスープカレーラーメン」を売り出すなど、サイドメニューの充実化を図っています。5月の既存店売上高がプラスだったのは、これらのサイドメニューが大きく貢献したといえそうです。
このように各回転ずしチェーンがサイドメニューを充実させていったため、くら寿司のサイドメニューの優位性が相対的に低下し、集客に苦戦するようになったと考えられます。
くら寿司を運営するくらコーポレーションの業績は悪くはありません。6月6日に発表した18年10月期第2四半期決算は、売上高が前年比8.5%増の652億円、営業利益が21.7%増の37億円と増収増益でした。しかし、既存店客数の落ち込みが懸念材料で、楽観できる状況ではありません。新機軸を打ち出せるかが問われそうです。
店舗経営コンサルタントの視線で企業を鋭く分析!
毎日更新されるブログはこちら
image by: 無添くら寿司 - Home | Facebook