サッカーW杯で「日本人のゴミ拾い」が絶賛された意外な理由

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2018年ワールドカップで、日本人選手やサポーターたちが去り際に行ったゴミ拾いや清掃が「日本の美徳」として世界各国で報道されました。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者でモスクワ在住の国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、日本は街のゴミ箱削減の影響で持ち帰りや分別意識は世界的に高いが、これらを含めた日本マナーを非日本語圏に伝える能力や手段には劣っており、改善は急務、と記しています。

2020年、東京のトイレがゴミだらけになる?

ワールドカップ、ベルギー戦残念でした。しかし、日本選手偉いです。負けてがっかりしているのに、ロッカールームをピカピカにした。そして「スパシーバ!」(ありがとう)のメモ。日本のサポーターも偉いです。負けてがっかりしているのに、しばらくすると、ゴミ拾いをはじめた

毎度のことですが、世界中で、日本選手、日本のサポーターは称賛されています。しかし、日本人にとっては、「当たり前のことしてるのに、何でそんなに褒められるかわからない」ということでしょう。

この部分重要です。使わせてもらったロッカールーム、楽しませてもらったスタジアムをキレイにするのは、世界基準で普通ではないこと」なのです。もし世界的に普通なことであれば、世界中のメディアでとりあげられたりしないはず。

これ、覚えておきましょう。

ゴミ箱が少なくなった日本

私は、たまにしか日本に帰国しないので、祖国の変化に敏感になります。皆さん、自分の子供が大きくなっていること、あまり気がつかないでしょう? しかし、親戚の子に1年ぶりにあったら、「メチャクチャでかくなったね!」と驚くことでしょう。私が日本の変化に気がつくのも、たまにしか見ないからです。ここ数年で、何に気がついたのか。

数年前、上高地に行ったときのことです。小さい子供が二人いると、いろいろゴミがでます。それで、ゴミ箱を探すのですが、どこにもありません。現地で働いている人に、「ゴミ箱どこにありますか?」と聞くと、「ありません。皆さん、ご自分で持ち帰っておられますよ」といわれました。私は、「そういうことか!」と恥ずかしくなり、「俺は浦島太郎だな」と思ったのです。

その後、意識して観察してみると、ゴミ箱が減っているのは、上高地だけでなく、「全体的な傾向」であることがわかりました。実家の近所の公園にいってもゴミ箱がありません。私がいうまでもないと思いますが、皆さん家に持ち帰っているのですね。私は、しみじみ「嗚呼、日本国民の民度の高いことよ」と驚嘆したのです。

しかし、今回は「日本はとてつもなく民度が高いのうという話ではありません

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