ブランド価値の崩落。なぜアンダーアーマーの人気は凋落したのか

 

アンダーアーマーは販売チャネルを戦術化すべきだった

アンダーアーマーの失敗はJクルーと同じ戦略をとったことも原因と言えますが、それよりも希少性を維持しながら売上をアップさせるために導入した販売チャネルの戦術化のミスだといえます。

なぜならネット通販の攻勢で店舗の業態が悪化したことを差し引いても、同社が卸した大手小売りチェーンのスポーツオーソリティーの閉店や同社商品が品ぞろえの2割近くを占めるチェーン企業ヒベット・スポーツの業績不振が売上には多大な影響を与えているからです。

今後はどの業界でも後発組がブランドを確立した先発組を相手に勝負をするのは必然となりますが、例えばデザイン性によりブランドを構築した後発組がすべきことは、販売チャネルを絞り以下のポイントで売場や商品やサービスを強化し、販売チャネルの付加価値向上と共に自社ダイレクトのオンラインの売上を確かなものにすべきなのです。

付加価値志向スポーツチェーン企業ディックス・スポーティンググッズの売場事例から

  • 店舗をショール─ミング化し自社(又は販売チャンネルでの)オンライン販売を強化
    →色のコーディネーションをサイネージで見せ、試着を促ししシャツやパンツを増やす
  • 最寄り品となるバッグや雑貨などの品揃え
    →クーラ─バッグや断熱携帯ボトルなど用途に合わせた商品を開発し客単価向上に貢献
  • アースレジャーの独自のスポーツライフスタイルの提案
    →シューズなどをキーアイテムにした独自な日常コーディネーションをPOPで訴求

デフレが続く日本で価格競争せずに差異化するには、競合相手であるオンラインの売価の値崩れが起きないように、リアルにおける販売チャンネルを吟味し、自社の商品やサービスのブランド価値を維持しつつ、売上を伸ばすことが不可欠なのです。

image by: JHVEPhoto / Shutterstock.com

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日本の上場企業トップと同行し米国優秀企業を紹介した米国ビジネスモデルコンサルタントが、そのトップだけが持つ独自の視点で利益を生み続ける現場演出から分析。日本の優秀企業が、米国企業から導入し、顧客を喜ばせた「オンリーワンになる法則」を事例で解説。<少量生産・高付加価値を可能にする3rdビジネス>を発信する

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【著者】 清水ひろゆき 【発行周期】 不定期

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