ブランド価値の崩落。なぜアンダーアーマーの人気は凋落したのか

 

Jクルーと同じ戦略を採用、販売チャネルでブランド価値を失墜させた

アンダーアーマーが、Jクルーのようにデザイン性を武器に、他社とブランド価値において一線を画せたのは、Jクルーがプレッピーなファッションではなく着こなすおしゃれさでブランドイメージを変えたように、同社がスポーツのためだけに着用するのではない日常でスポーツウェアを着る楽しさを素材の色遣いやシルエットで訴求したからです。

Jクルーの戦略とは、デザイン性を軸に、量販店以外の販売で希少性を維持し、価値を高めるために質にこだわる高価格の商品構成を実施すると共に、ブランドショップを主に店舗数を増やし露出度を拡大することでした。

片やアンダーアーマーはデザイン性に特化した戦略は同じでしたが、Jクルーとは異なり、中価格帯のチェーン企業(地域密着百貨店コールズや靴のDSWやフェイマスフットウェア)に卸売することで、販売網を広げ、買いやすい価格帯で何とか落ちた売上の巻き返しを図ろうとしました。

結果、Jクルーのファンとなった顧客が求めるおしゃれさの優先は、高価格帯を強化するブランドに合致しなくなり、多くがファストファッションに流れてしまうことになり、店舗数が多くなったアパレルファッションチェーンJクルーはそのブランド価値を低下させ、2016年には前年比8%売上ダウンを記してしまうのでした。

Jクルーと同じ戦略をとってしまったアンダーアーマーも2016年売り上げのピーク後低迷した業績を回復すべく、ブランドショップ以外で同社ブランドを販売するのですが、どこにでも見かけるブランドアンダーアーマーはJクルー以上にブランドの希少性を低下させ、その結果2017年7~9月期には売上が前年比4%減と更に低迷し、ファッション衣料品部門の中枢だった部門長が退任、チーフデザイナーも18年春向け商品を最後に降板。稼ぎ頭の事業である衣料品は売上と共にそのブランド価値も下落していったのです。

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