【書評】小学校で英語の苦手な教師に英語を習う悲惨な生徒たち

 

歴史的愚策「ゆとり教育」は、始まったとたんから軌道修正を余儀なくされたが、それよりも深刻な事態が起こるのではないか。モルモットになる子供(著者はこんな表現はしていない)たちが不憫である。その子は小学校で4年間、中学校で3年間の、新しい英語教育を受ける。それが失敗だったらどうする。

その「学習指導要領」にある、小学校と中学校の英語の目標はほとんど差異がない。中学と高校の英語教育の目標にも大きな違いはない。つまり、日本の英語教育は、小学校3年から高校3年までメリハリがない。新学習指導要領の英語は、英語教育の専門家であっても、これほどの英語を教えるにはどうしたらいいだろうと悩むような内容である。「英語教員の心中を察して余りある」と筆者は嘆く。

「英語で英語の授業」が始まったのは、2013年4月入学の高校1年生で、既に卒業している。彼らの英語が飛躍的に伸びたという話は聞かないどころか、政府目標の「英検準2級」に到達した高校3年生の割合が全体の36%では、成果ナシである。「英語の授業は英語で」という指導方法は、中学にまで下して学習指導要領に明記するほど、効果のあるものだろうか。100%ないと思う。

このままでは多数の英語嫌いが小学生の段階で生み出され、多くの中学生が英語授業で躓き……となるのは確定だ。日本人の英語力を壊滅させる決定打になるかもしれないこんな愚策を、学習指導要領に盛り込んだのは誰だ。中教審の外国語専門部会では審議されていなかったという。私の大好きな陰謀論がここにも。スマホという翻訳機があれば会話はなんとかなる時代だが…。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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