行政書士が断言。合格率で資格の難易度を測るのはナンセンスな理由

 

税理士の科目ごとの合格率を改めて確認しよう

次に、今度は税理士の科目ごとの合格率をあらためて見てみましょう。簿記論14.2%…法人税法12.1%…などとなっています。

この数字から想定することは、「なるほど簿記論も法人税も同じくらい難しいんだな。何とか簿記論は合格することができた。法人税法についても同じくらい勉強をすれば合格するだろう」ということでしょう。しかし、ここにもマジックが隠されているのです。

実は税理士試験では、たいてい受験生が受験する科目の順番が同じになっています。税理士試験そのものは、別に「簿記論→財務諸表論→・・・」などと順番が決められているわけではなく、消費税法を受験したあとに簿記論を受験して、次は法人税を受けてというカタチでも大丈夫です(ぼくは、まず消費税法を受験して合格したという過去があったりします)。

ただ、勉強の順序と言いますか、簿記や財務諸表の理解の上に法人税や所得税の学習が乗っかってくる感じですので、一般的にはまず簿記論・財務諸表論を学習し、その合格の後に法人税や所得税の学習を開始するということになるようです。

とすれば、法人税や所得税を受験している人は、簿記論や財務諸表論に合格したようなツワモノであるということであり、そのツワモノ達が受験して12.1%しか合格しないというのは、どれほど難しいものであるのか、想像に難くないと思います。

ちょっと怖い数字を出してみましょうか。日商簿記検定1級には受験資格というものはなく、誰でも受験することができます。そして、日商簿記検定の合格率はだいたい10%です。そして、日商簿記検定1級に合格すれば税理士試験の受験資格を得られて、税理士試験簿記論の受験ができます。この合格率が14.2%。そして、簿記論に合格した人が次に法人税の受験をして、その合格率が12.1%。ということは、税理士試験の法人税に合格するのは、(日商簿記1級)10% × (税理士簿記論)14.2% × (税理士法人税)12.1%=0.0017182 なんと0.17%くらいの難しさだということです

1000人中2人も合格しないレベルですよ。これはあくまで数字上の議論であって、実際には社会人でも合格する人はたくさんいらっしゃるわけですから、この数字を見て直ちに絶望する必要はないでしょう。ただし、「税理士試験は14%くらい合格するんだなぁなんて考えちゃ、絶対ダメです。挑戦される方は、「自分は合格率0.17%の超絶難関試験に取り組もうとしているんだ」と覚悟を決めた方がよいでしょう。 

☆まとめ☆

税理士試験の最終合格を目指すなら、合格率0.17%の国家試験と覚悟せよ。

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