なぜ、ファミリーマートは異業種の「ドンキ」の手を借りたのか?

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コンビニ大手のファミリーマートが苦戦しています。既存店客数は3月~6月ともに減少、既存店日商は3月こそ前年を上回ったものの、4月~6月で前年を割りました。そんなファミマが、打開策として模索しているのが「異業種とのコラボ店」です。あのドン・キホーテから、フィットネス、コインランドリー、ついには書店ともコラボした店を続々と増やしています。フリー・エディター&ライターでビジネス分野のジャーナリストとして活躍中の長浜淳之介さんが、こうしたコンビニのコラボ店の出店加速の動きについて、現地への取材を重ねながら詳しく分析しています。

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ、行列研究所名儀)など。

ファミリーマートが加速する、異業種店とのコラボレーションは成功するのか?

ファミリーマート異業種とのコラボ店の出店が加速している。

同社の広報担当者によれば、今年2月14日にオープンしたフィットネスジム併設店では、「フィットネス会員が当初計画していた2倍のペースで増えている」(ユニー・ファミリーマートホールディングス広報室・篠崎直人氏)とのこと。今年6月にオープンした、ドン・キホーテとの融合店3店でも「売上が通常の店の1.5倍に伸びた」と、予想を上回る反響に手ごたえを感じているようだ。 同社が次々と進めている異業種コラボ店の今を取材した。

ドンキとファミマという「異色コラボ」の手応え

ドン・キホーテとのコラボ店は6月1日、東京都立川市に「ファミリーマート立川南通り店」、東京都目黒区に「ファミリーマート大鳥神社前店」、同月29日東京都世田谷区に「ファミリーマート鎌田三丁目店」をそれぞれオープンした。

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これは、ユニー・ファミリーマートHDと、ドンキホーテHDが昨年11月に締結した資本・業務提携に基づいて、直営の共同実験店舗を運営するものだ。

まずは、ユニーの総合スーパー「アピタ」及び「ピアゴの6店舗を、コラボ業態「MEGAドンキ・ホーテUNYに改装。横浜市神奈川区、名古屋市港区などにあるこれらの店の3~4月の売上が前年の2倍を超える成果を上げた。

そこでコンビニにも、ドン・キホーテワクワクする売場づくりノウハウを導入。ネットでは体感できない「お買い物の楽しさ」を追求するという趣旨だ。コラボ3店にはドン・キホーテが推奨する日用品加工食品等約2800種類を導入した。立地を変えて、顧客の反応を見極めているところだ。

47坪の「ファミリーマート立川南通り店」の場合、取扱商品数は約5000種類通常の1.7倍。そのうちドン・キホーテの商品は約2800種類だ。

実際に店を訪れてみると、ドン・キホーテとのコラボ店だからと、遠方から目指して来る人が多く、通常のコンビニでは置いていない激安商品をまとめ買いする顧客が目立った。1人あたりの購入量が多いので、売上が増えている。店の中を一通り見て回るので、顧客の滞在時間も長くなっている。おにぎりとお茶だけ買って帰る人のほうが少ない。

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陳列の仕方は天井のほうまで棚をつくって商品を高く積み上げたり、通路にわざとはみ出して什器を置いたりと、ドンキ流演出を導入

商品も、扇風機、携帯アクセサリー各種、精力剤、ホッピーやバイスサワーなど立ち飲み屋にありそうなお酒、人生ゲーム、ペロペロキャンディー、うまい棒各種、老舗カレーショップのレトルトカレー各種など、一般のコンビニではまず置いていない商品がたくさん置いてあってついつい手に取ってしまう

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立川駅南口はファミリーマートの店が多く、「ファミリーマート立川南通り店」から半径500メートル圏内に8店もの店がある。また、すぐ斜め前には「ローソンストア100」があり、棚の高いところまで商品を並べ100円均一で激安販売している。

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自社競合を避け安さでローソンストア100に売り負けないようにする目的としては、ドン・キホーテとのコラボ店への転換は有効な対策と見受けられた。

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