現役弁護士が伝授。裁判前に知っておきたい慰謝料で損しない方法

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イソップ童話の「金の斧」の話を読んだことがある方、多いことと思われます。正直な森の木こりは「落としたのは鉄の斧」と答え、ヘルメース神から「金の斧」を授かりました。ところが裁判の世界では、「鉄の斧」と申告したばかりに損をしてしまうこともあるようです。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では著者で現役弁護士の谷原さんが、裁判を起こす際にはぜひ気をつけて欲しい点を紹介しています。

もし裁判を起こすなら…  

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

一生裁判を経験せずに過ごせたらよいのでしょうが、やむを得ず、裁判を起こさなければならない、ということもあるでしょう。今回、そんなときに気をつけたい一つのことを解説します。

日本の民事裁判では、「処分権主義」という原則があります。これは、裁判所は、当事者が申し立てていない事項について判決をしてはいけない、という原則です。

たとえば、交通事故の被害に遭って、損害賠償として、「1,000万円支払え!」という裁判を起こした場合、たとえ裁判官が「ああ、損害賠償額を計算すると、1,500万円だなと考えたとしても、「1,000万円支払え」という判決しか出せないということです。

ところで、交通事故の損害賠償の項目の中に、「慰謝料」があります。慰謝料については、過去の膨大な裁判例によって相場が作られています。たとえば、後遺障害等級1級になったら、後遺症慰謝料は2,800万円、という具合です。したがって、裁判を起こす時には、この相場にしたがって、請求をするのですが、ここで先ほどの処分権主義の問題が出てきます。

実は、慰謝料に相場はあるのですが、事情によっては慰謝料が増額される場合があります。加害者が飲酒、無免許等悪質な事故だったり、事故後加害者が暴言等を吐いたような場合です。もっと詳しく知りたい方は、こちら。

● 交通事故の慰謝料の相場と慰謝料を増額させる秘訣

その場合でも、被害者が、慰謝料増額を主張しないで、相場どおりの主張をしてしまうと、裁判所は損害賠償金額を勝手に増額することができないのです。このあたりは、知らないと、損をしてしまいますので、要注意ですね。

もし、やむを得ず裁判を起こすような時のために、憶えておきましょう。

今日は、ここまでです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 谷原誠 【発行周期】 不定期

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