つまり、ここで、セット販売ではなく、端末と通信が分離したかたちが成立する。公取委としては「セット販売で、キャリアが端末の割賦払いでユーザーを拘束し、解約しにくくなるのが問題」というスタンスだ。もし、キャリアではなく、メーカーが、割賦払いとアップグレードプログラムでユーザーを拘束するのであれば、公取委は口出しができなくなるはずだ。
キャリアが料金プランで拘束し、メーカーが端末の支払いで拘束するのであれば、「利用者のスイッチングコストが高まり、他の通信会社への乗換えが実質的に困難になるおそれがある」という指摘には当たらないはずだ。
ただ、このままでは月額5,000円という高額な負担は残ってしまう。しかし、iPhone Upgrade Programが48回払いになれば、月額の負担は一気に半額となり、従来、KDDIとソフトバンクが提供していたプログラムと遜色ないかたちとなる。
もちろん、24回払いでも、キャリアが「docomo with」のような、端末割引をしない代わりに基本料を値引くというプランを導入すれば、ユーザーの負担は一気に下がるだろう。
9月あたりにキャリアとアップルが「iPhone Agreement」を改定し、4年縛りのiPhone Upgrade Programをアップルが提供するようになると、公取委もぐうの音がでなくなり、面白いことになりそうな気がするのだが。
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