遺族にビタ1文入らない。払い続けた厚生年金に裏切られるケース

 

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ちょっと遺族厚生年金の支給条件を確認してみましょう。

1.厚生年金加入中の死亡
2.厚生年金被保険者ではなくなったが、厚生年金加入中の傷病の初診日から5年を経過する日前のその初診日に関係する傷病が原因による死亡。
3.障害厚生年金1級または2級の受給者の死亡。
4.老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者、または老齢厚生年金の受給者の死亡

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あのー、平成29年8月に老齢厚生年金の受給資格期間を満たす場合は25年以上ではなく10年に短縮されましたよね。ただ、遺族厚生年金の場合は原則25年以上を満たさないとダメなんですね。

この男性の年金記録を見てみると、1~3には該当せず、更に25年以上(300ヶ月以上)無いですよね。全体としては、303ヶ月ありますが学生時代に32ヶ月の未納があるから271ヶ月の期間が有効期間となる。だから、1~4までの条件のどれも満たさないから遺族厚生年金は貰えない。ただし、国民年金からの遺族基礎年金は支給される。死亡した時が国民年金のみの加入中だから。

もちろん、国民年金加入中の死亡というだけで遺族基礎年金が支給されるわけではないですが、死亡した月の前々月までの年金保険料を納めなければならない期間(平成5年8月から平成30年8月までの301ヶ月)の間で未納は3分の1以下(33.33%以下)でないといけない。301ヶ月に対して32ヶ月間の未納だから、未納割合は10.63%しかないから大丈夫。まあ、死亡日の前々月までの直近1年間に未納が無ければそれでも構わない。というか、手っ取り早くこの直1年見ますけどね^^;

遺族の前年収入も夫死亡時点で850万円未満(一時的な所得などは除く)だから大丈夫。また、遺族基礎年金は貰える遺族は「18歳年度末未満の子のある配偶者」もしくは、「18歳年度末未満の子」に限られる。妻か子供どちらが、支給されるかというと今回の場合は妻。子のある配偶者が優先して支給される。配偶者に支給されてる間は、子に対する年金は停止している状態。

・妻に支給される遺族基礎年金→遺族基礎年金779,300円(定額)+子の加算金224,300円×2人=1,227,900円(月額102,325円)

となる。この年金は上の子が18歳年度末を迎えるとその翌月から、779,300円+224,300円=1,003,600円(月額83,633円)に減額し、下の子が18歳年度末を迎えると完全に0円となり年金は消滅する。なお、子が18歳年度末になる前に障害等級1、2級(障害手帳の等級ではないです)に該当するなら子が20歳になるまで遺族基礎年金が延長される場合もある。

よって、本来は基礎年金と厚生年金はセットで支給されるものなんですが、今回のように厚生年金期間がすごくあっても、国民年金からの支給のみという事になる。今回の事例のように、比較的若い人の死亡だと25年を満たせてない人が居るので、そういう事も起こりうるわけですね。

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