ユニクロも鳥貴族も業績悪化。1200円に値上げのQBハウスはどうなる?

tempo20180816
 

「1,000円カット」で広く認知されるQBハウスが、通常料金税込み1,200円に引き上げられることが発表され話題となっています。11%もの値上げ率は客離れにつながることはないのでしょうか。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、今回の値上げが同社にもたらす影響を様々な側面から検証、今後のQBハウスの行く末を占っています。

1000円カットのQBハウスが値上げへ。1200円は安いのか、高いのか?

「10分・1,000円(税抜き)」が売りのヘアカット専門店「QBハウス」が料金を値上げすると発表し、波紋が広がっています。

2019年2月1日に通常料金を税込み1,080円から同1,200に引き上げます。65歳以上が平日に利用できる「シニア料金は同1,000円から同1,100円になります。値上げは消費税が8%に引き上げられた14年4月以来、2度目となります。

理美容業界では深刻な人手不足が続いています。QBハウスも例外ではなく、値上げにより従業員の待遇を改善するほか離職した理容師の採用や育成を進め人手不足問題に対処したい考えです。

人手不足はQBハウスが店舗網を拡大する上で大きな足かせとなります。10年前に比べると近年は出店スピードが落ちています。現在の国内店舗数は約540店で、店舗網を広げる余地はまだまだ十分にあるといえますが、人手不足が解消できなければ出店はままならず、今後の出店戦略に影を落とします。そのため、人手不足解消を目的とする値上げはこの場合、やむを得ないといえるでしょう。

ただ、値上げは客離れにつながるリスクがあるため、簡単にやむを得ないとは言えない側面があります。値上げがきっかけで経営が傾いた例は枚挙にいとまがありません。

たとえば、カジュアル衣料品店のユニクロは14年の秋冬商品を平均5%値上げし、15年の秋冬商品を平均10%値上げしたところ深刻な客離れが起きてしまいました。客足を戻すため、後に一部商品の値下げを余儀なくされています。

焼き鳥居酒屋の鳥貴族は昨年10月に全品280円を6%高い298円に引き上げたところ客離れが起きてしまいました。値上げを実施した10月の既存店客数は激減してしまい、翌11月こそわずかに前年同月を上回ったものの、翌12月から今年7月まで8カ月連続で前年を下回ってしまっています。既存店売上高も7月まで7カ月連続で前年を下回っており、厳しい経営状況が続いています

値上げは客離れにつながります。一方で値上げは客単価を上げる効果もあり、上昇した客単価が引き上げる形で売上高が上昇するケースもあるため、値上げが必ず経営を傾けるわけではありませんが、鳥貴族のように売上高を下げてしまうケースが少なくないため、値上げは慎重に行う必要があるといえるでしょう。

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