「台湾製」は「Made in Taiwan」の頭文字をとって「MIT」とも表現され、台湾では笑っているようなロゴを作成し、「MITスマイルは信頼の証」と銘打って、認定製品にそのロゴの使用を認めています。現在、MIT認定製品は19万6,395、認定業者数は2,735です。
つまり、「台湾製」というのは、ひとつの品質保証、認定マークなのです。それを「中国台湾」と改めろということは、台湾の主権、台湾人の人権をないがしろにしているうえに、著しく台湾製品のイメージを損ないます。「Made in China」は粗悪品の代名詞だからです。あまりにもイメージが悪いため、中国自身、最近は「Made in PRC」と表記するようになっています。PRCとは「People’s Republic of China」、つまり中華人民共和国のことですが、そうやって「中国製」であることを必死で隠そうとしているわけです。
日本でも「中国製」と異なり、「台湾製」へのイメージは悪くありません。有名なところでは自転車のGIANTや、パソコンのマザーボードをつくるASUSなど、日本でもかなり展開しており、毎年、東京で台湾製品の展示・体感イベントが開かれています。今年は5回目でしたが、台湾好きで知られる女優の黒木瞳さんがスペシャルゲストとして登場しました。
● 東京で台湾製品の展示・体感イベント 黒木瞳さんが来場呼び掛け
中国が資本に物を言わせて他国企業を買収し、技術をごっそり獲得してしまうのとは異なり、台湾は日本企業の下請けから出発し、コツコツと技術を磨いてきた企業が多いのです。これが戦後NIESの一員として飛躍する原動力となりましたし、現在においても技術開発力が高いのです。
金にものを言わせた企業買収で一時的に最新技術を得たとしても、基礎的な技術開発力がなければ、それを発展させたり、改良することはできないのです。それが中国企業の弱みでもあります。
先日、アメリカ商務省が、米企業に対して、中国通信企業の大手ZTEとの取引を禁じる決定をしたところ、ZTEは部品調達ができなくなり、スマートフォンの販売を停止せざるをえなくなるということがありました。中国企業は、スマートフォンに使用されている中心技術を自分たちでつくることができないのです。
とくに、半導体の材料であるシリコンウェハをつくる機械を日本やアメリカから購入することはできても、その工作機械を中国はつくれません。そのため、次世代のシリコンウェハを独自開発できないのです。
コツコツと技術を積み上げる匠の国・日本、その日本から学びつづけた台湾と、金にあかせて技術買収を繰り返す中国とでは、基本的な思想からして異なっています。だから心ある台湾人は、自分たちの製品に「中国台湾」などとは表記したくないのです。「MIT、台湾製」に誇りを持っているのです。