金持ち優遇の不公平。消費税UPの裏で相続税は20%も減税していた

 

「共産主義の崩壊」で相続税が下げられた

相続税が下げられた要因は、諸々ありますが、一番大きいのは、共産主義国家の崩壊です。1980年代の後半に、ソビエト連邦をはじめとする東欧の共産主義国家が相次いで崩壊し、東西冷戦が終了しました。それ以降、西側の先進国では相次いで相続税が下げられたのです。

なぜ共産主義国家が崩壊したら、相続税が下げられたのか? 疑問に持つ方も多いでしょう。そもそも、相続税というのは、共産主義が世界を席巻し始めたころにつくられた税金なのです。

19世紀後半から20世紀前半にかけて、貧富の差が拡大し庶民の不満が高まり、共産主義が勃興してきました。そのため、先進国の政府は、貧富の格差を解消し、庶民の不満をなだめるために、相続税が取り入れられたのです。

しかし共産主義国が崩壊したので、西側の先進国たちは、貧富の格差にそれほど気を配らなくてよくなりました。「資本主義こそが正しい経済思想だ」とばかりに、企業や投資家に限りなく自由を与え、便宜を図る政策を採り始めたのです。その最たるものが、相続税の大減税でした。

欧米各国は、相続税の税率を下げたり、免除枠を拡大するなどして、富裕層の相続税負担率を大幅に引き下げました。フランスなど、相続税の廃止を打ち出す国も出てきました。日本もそれに便乗したのです。

相続税の対象者というのは、国民の1割もいません。だから、選挙対策とするならば、相続税を下げる必要はあまりないはずで、むしろ、他の税目を減税すべきです。なのに、なぜ相続税が下げられたかというと、相続税対象者が政治献金をしている場合が多いからです。

そもそも政治家というのは、富裕層財界などの献金で支えられているので、富裕層の機嫌を取るために相続税を下げたのです。が、そのため、2000年代に入って、先進国は深刻な格差社会に悩まされることになりました。昨今、欧米を震撼させているテロなども、貧富の格差が背景にあるのです。

欧米の政治家たちは、大きな勘違いをしていたのです。共産主義が崩壊したのは、彼らの社会が平等だったからではありません。むしろ、不平等だったからなのです。ソ連の末期、労働者の平均所得の半額となる75ルーブル以下の最貧困層は3,576万人もいました。ソ連の貧困層と最貧困層を含めた人数は、国民の35%だったという説もあります。

その一方で、共産党幹部などの50万人は、月500ルーブル以上の年金をもらっていたのです。また共産党幹部の子弟は、裏口入学で高等教育を受けられたり、縁故による就職、昇進がまかり通っていました。そういう国民の不満が共産党への不信となり政権が崩壊したのです。

欧米の政治家たちは、その事実を無視し「資本主義こそが絶対的な善」という考え方になったのです。

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