これは余談になるが、民主平和党の朴智元議員のことばでもう一つおもしろい部分があった。北朝鮮の金正恩国務委員長の妹の金汝貞(キム・ヨジョン)氏について、彼女が「白頭血統(ペクトゥヒョルトン)であるため、本当の能力に比べて出世ができていない」と分析している点。
金正恩の実の妹である金汝貞氏は、肩書きとしては「朝鮮労働党第1副部長」であるが、朴智元議員の見立てとしては、もっと高い位置に上っていてもおかしくはないということなのであろう。どれくらいの位置にあれば、「妥当」という判断を下すのかは筆者にはわからないものの、「朝鮮労働党第1副部長」よりは上になっているべきだということなのだろう。
ここで白頭血統というのは北朝鮮を語るときによく出てくるキーワードでもあるので、簡潔に説明すると、金日成の直系を意味する北朝鮮式の用語である。朝鮮民族の霊山ともいえる白頭山。ここで生を受けたとされる金日成。さらに金正日、金正恩と下ってくるわけだが、白頭血統とは金日成からの直系という義。金正恩の妹である金汝貞も、金日成の血を引いているということで白頭血統といっているわけだ。
でさらにこの出世できていないという内容でおもしろいのは、普通だったら白頭血統ならどんどん上に上っていって当然というところだけれど、そうしたら人民に対して面子が立たない。白頭血統だからといって、無条件で上に行くんではないんですよと、ある意味プロパガンダをしている意味にもなっているわけだ。
韓国民主平和党の朴智元議員はさらに、実際の能力に比べてとんでもない出世をした朴槿恵(元大統領)とは完全に違うと皮肉っているのも、ちょっとわさびが利いていて面白い部分ではある。朴智元議員は勿論朴槿恵と同じ韓国人であるが、朴槿恵とは反対の党であるゆえの皮肉である。同国の反対党よりは、敵国の要人にもっと情が傾いているようだ。韓国情勢、今後数年間は眼が離せない。
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