世界が認めた「最後の調停官」に学ぶ無敵のコミュニケーション術

 

イタリア・ローマ郊外のある畑で栽培される珍しい花に、髪に良い成分が含まれていることを、ある世界的な日用品メーカーが発見した。そこで花を栽培する会社から独占買付を行おうと交渉した。ところが何回臨んでも合意が得られない。買付価格を倍にしてもやっぱりダメ。

数年後、ついに島田さんのところへ「交渉をまとめてくれ」との依頼が舞い込んだ。さっそく島田さんはローマに飛び、交渉場所である花を栽培する会社に降り立った。会議に挑む前にお手洗いに立ち寄ったところ、なんとその会社のトップと遭遇する。

思い切って島田さんから「破格の条件が出ているのに、なぜ合意できないんですか」と尋ねてみた。すると、相手はこう答えたという。

「あそこに小屋のような店があるのが見えるか?あれは甥っ子の家族が代々営む薬局だ。うちで採れる花を使ってハーブオイルを作っている。それなのにメーカーは花を100%売り渡せと言う。そんなことしたら甥っ子たちはやっていけないじゃないか」これを受けて島田さんは、「お店で使う分を差し引いて、残りのすべてをお売りになっては?」と提案。相手は「それならばすぐにでもサインする」と答えた。これまで交渉に数年を要した案件が、たった40分で終わったそうだ。

この体験談は笑い話に近いかもしれない。しかしこの中に重要な交渉術のヒントが隠れている。それは、“WHY”だ。なぜ交渉にNOを突きつけたのか。どんな理由があるためか。メーカーがその疑問をぶつけていれば、数年を要する必要もなかった。

「なぜ相手はそのような主張をするのか」この疑問を持ち、相手から聞き出す。これは重要なコミュニケーションスキルだ。そして多くの人が実践できていないことでもある。島田さんはこのメルマガで、交渉術の柱の1つ“WHY”の重要性を訴えている。

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