「元気ないです」正直な自虐ネタで大逆転した温泉地の巧みな戦略

 

ここで閃いたのが、苦境であることを正直に伝え、「来てください」とストレートにお願いすることでした。その表現方法を面白くすれば、暗くならずに、笑ってもらえるのではないかと考えたのです。

まず製作したのは、観光ポスター。メインとなるキャッチフレーズは、「元気ないです 十勝川温泉」。そのものズバリです。

一番下には、「ヒマ過ぎちゃってサービス向上」のフレーズ。ポスターのテーマを「ヒマ」として、ビジュアルでは、ヒマな従業員たちの写真を掲載しています。

  • 仕込み中に試食ばかりする料理人
  • 空いた部屋で英会話の勉強をしながら、バランスボールで運動をする仲居さん
  • 見まわりのついでに温泉につかるスタッフ

かなり自虐的な表現となっていますが、笑えます。この大胆なポスターが注目を集めることになったのです。逆境にめげずそれを逆手に取って、面白可笑しくアピールしたことで、いま、予約が戻りつつあります

また、これまで知らなかった人が十勝川温泉の存在を認知するようになったのです。これは大きな成果です。

自虐的PRは、苦し紛れの思いつきだったかもしれません。しかし、他と違うことをするという大きな勇気が結果的に功を奏したのです。自分たちの置かれた立場を正直に語り、率直にお願いしたことが、お客さまの心を捉え、これからの元気に繋がったのです。

image by: 音更町十勝川温泉観光協会 公式ホームページ

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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