人手不足のご時世に5年で人を辞めさせざるを得ないおかしな悪法

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2012年に改正された労働契約法で5年無期転換ルールが定められ、2013年4月から有期労働を契約した場合、5年後に無期への転換を申し出ることができることになっていました。しかし、その5年目を迎えた2018年4月以降、トラブルが多発しているようです。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、「2018年問題」と呼ばれる5年ルールにおけるトラブルと、派遣社員の派遣期間の上限を3年とする「3年ルール」について、会話形式でわかりやすく解説しています。

2018年問題

「2018年問題」といわれる労働環境上の問題がある。2018年4月に「5年ルール」が本格スタートした。9月末には、派遣社員の派遣期間の上限を一律3年とする3年ルールが最初の期限を迎えた。ともに非正規で働く人を安定雇用にすることが目的とされたが、トラブルになるケースも多いようだ。


新米 「この間、新聞で『2018年問題』っていう記事を見たんですけど、懸念されていたことがやっぱり問題になっているってことなんですね」

大塚T 「『2018年問題』?そんな言い方されているんだー。『5年ルール』のことね」

新米 「はい、それと『派遣期間の3年ルール』もです」

大塚T 「あ、それもね。その件は、最近問い合わせが多いわね」

新米 「『5年ルール』のことは、ずっと前にボスも、あれこれ手を打ったとしても、トラブルになることは多いだろうって言ってましたね」

E子 「そうね。最近の法改正は、安定雇用が目的とはいえ、企業も辞めさせたくないのに働きたい人を辞めさせないといけない人手不足の時代にアンマッチングが起こる、ヘンで理不尽な法改正だと思うわ」

大塚T 「うーーん。ホント、長く働きたい人が辞めざるを得なくなる法律っておかしいですよね。新米くん、新聞にはどんなことが書いてあったの?」

新米 「女性が20年働いた職場を雇止めされたケースでした。大手企業だから早くに対応も始めていて、法改正時の今から5年前、2013年の契約更新時の新しい契約書に『4月以降の通算契約期間は5年を超えないものとする』と今までなかった文言を追加したそうです。会社側は、当然のように『法律が変わって、5年を超えて更新できなくなった』と説明をして、『ここでやめるか、ハンコを押すかの二択だ』と言ったらしいです」

大塚T 「大手企業としては、そういわざるを得ないんでしょうね。理想の方法とは違うけど、あながちやり方が間違いとも言えないし…」

新米 「有期雇用の女性は、『おかしい』と思いながら、5年経てば、社会情勢や経営環境もまた変わって、残ることもできるかもしれないい…とハンコを押したそうです」

大塚T 「この行為なら、この人に限らず誰もがやっちゃう行為でしょ」

E子 「気にいっている職場であればあるほど、『じゃぁ、今回でやめます』なんて5年も前に職場を去る人なんていないわよね…」

新米 「この女性は、20人の営業所で、営業の人が出かけた後は、一人で営業所を切りもりしていたそうです。来訪者との応対、電話はもちろん、新人教育まで…。毎年の更新のたびに、働き続けることができるかを営業所長にたずねたのに、きちんとした回答はなく、今年になって営業所長から『引き継ぎをよろしく』と言われたとか…」

大塚T 「わぁ、キツイわね~。ちょっと可哀想ー。その持っていき方と言い方は堪えるし、腹立つわ~!」

新米 「『営業所は続き、仕事はある。それなのに、自分はなぜ解雇されるのか?腑に落ちない』として、個人で加盟できるユニオンにはいったそうです」

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