E子 「充分あり得る話ね。次の更新がないとしたり、更新回数や通算年数に上限を設けたりする契約の規定を『不更新条項』というのよ。労働契約法では、有期雇用を繰り返していると、次の更新されるだろうという『期待権』が労働者に認められる可能性が出てくるわ」
大塚T 「だから、会社はその『不更新条項』を使って、期待権を失わせて雇止めしやすくしておこうということですよね。でも、上手に使わないと、このようなトラブルになりますね~」
E子 「そういうこと。『5年ルール』の施行以降、この『不更新条項』をめぐる訴訟もおきているわ。『書式が変わっただけ』と説明されサインを求められた契約書をめぐって、今になって『合意した』と言われているそうね。契約を更新しないと仕事を失う。その一方、『不更新条項』にサインすれば、後で争っても『更新しないことに同意した』と会社側は主張する可能性が高い。両者にとって、どうすればいいのか…ここに私たちの仕事があるってことよ」
大塚T 「私たち社労士は、労使間紛争の解決もだけど、そもそも予防が仕事ですよね。うちのお客様にはこれからもしっかり情報発信して、打合せもして、労働条件通知書や就業規則も整えて、労使間紛争の予防をしていきたいですね」
新米 「そうですね!(^^)/」
「5年ルール」とは ~朝日新聞『働く』
同じ会社との間で有期労働契約が繰り返し更新されて、通算5年を超えた場合、無期契約への転換を求める権利が労働者に与えられる。2013年4月施行の改正労働契約法に盛り込まれた。施行以降の契約から対象になるため、今年4月から無期に変わる人が出始めている。ルール通りに就業規則を変えたり、前倒しで無期転換したりする企業がある一方、無期転換を避ける企業もある。
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