一方、女性は「be」することで「自分を確立」する。男性社員に、私の相談を「一緒に」聞いてほしいのだ。妻が夫に愚痴を言うときも、それを解決してほしいのではなく、自分の不機嫌に共感してもらい、“あたしは間違っていなかった”とホッとすることがゴール。これが男性と女性の違い、「do」と「be」だ。
この論理を用いれば、女性が仲の良い友達の悪口を別の友達に言い出し、そのくせ次の日には仲の良い友達と楽しそうに過ごす、あの怪奇現象の説明もできるという。このあたりは本書で詳しく解説されているので読んでほしい。
では、女性上司が女性部下にやたら厳しくなる理由は何だろう。河合さんは「“女王蜂症候群”が引き起こす現象」と解説。“女王蜂症候群”を解き明かすキーワードは、「階層社会の壁」、今の若い世代が苦労なく手にした「権利」、そして女王蜂たちの「嫉妬」だ。
さらに女性が多数いる会議が長くなる理由は、「もの言う女を嫌う圧力」と「女性が軽視した男の努力」だそうだ。ボストン大学では女性に関する悲しい研究結果を明らかにした。そしてもう1つ、男性ビジネスマンが実行できて、女性ビジネスマンが実行できなかった、会議の明暗を分ける“ある行動”についても言及している。
この他、なぜ女性政治家は失敗するのか、なぜ女性はセクハラにノー!と言えないのか、女性に頭を抱える男性に正しい答えと対処法を授ける本書。女性に対する思い込みが一変することは間違いない。
また、河合さんは「まぐまぐ!」にて、有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』を発行している。前著『他人をバカにしたがる男たち』にもつながる「デキる男」の生き方について解説。「ジジイの壁」を自覚し始めた人ほど要チェックだ。
女性の社会進出が目覚ましい昨今。女性に“光”が当たるのと同時に、今まで明らかにされなかった“偏見”も浮き彫りになりつつある。職場だけでなく、女性に対する苦手意識を持つ人、女性との関わり方に悩んでいる人は、ぜひ本書を“女性の教科書”として読んでほしい。偏見は自覚しないと理解できず、解消もできない。その本書は「女性って面倒くさい」の“根源”を和らげてくれる1冊だ。(文=いのうえゆきひろ)
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