【書評】日本語は、心だ。いつまでも残したい美しい言葉たち

 

矍鑠とは年をとっても丈夫で元気がいい様子をいう。「かくしゃく」と読めるが、書けない。そもそもこの漢字はどんな意味か。「は鳥のようにきょろきょろすることで、「は金属を加熱して溶かすことをいう。それほど強い勢いや輝きを現すんだって。なんだ、おれのことか、と言ったりして。

「危急存亡の秋」では、秋をときと読ませる。なぜか。わたしは存じません。ここでの「秋」は大事な時期という意味を持つ。収穫の秋は1年で最も重要な時期であることから、この字をあてるようになったらしい。「天高く馬肥ゆる秋」は知っている。秋になれば元気な馬に乗って北方の異民族が攻めてくるので注意しなさいという、警鐘の意味を持つ言葉だったのだ。しらなんだ。

後生畏るべしこうせいおそるべし」と読む。読みと解釈は、編集の仕事についたとき会社のエラい人から、「校正恐るべし」と一緒に教わった。後生とは後から生まれて来た人で、後輩などを指す。「今は若輩者でも将来どんなに成長するか分からないので侮ってはならない」という格言で、論語にある言葉だ。その人は自戒を込めて教えてくれたのだと思う。いい時代だった。

8月15日前後に使われることが多い「国破れて山河在り」は、杜甫の「春望」が出典だ。この「破れて」の表記は「壊れる」「荒廃する」といった意味であり、敗戦を指す敗れてではない。2013年の安倍首相の演説で「国、敗れ、まさに山河だけが残ったのが、昭和20年夏」と首相官邸HPにあるそうだ。

「これは、日本が戦争に負けたことをあえて強調したかったのか、それとも単に『破れて』という表記を知らなかっただけなのか……気になって」と書く。さすが毎日新聞社。つまらんいいがかり。気になる、とはとにかく首相を貶めるためにはどんな難癖でもつける、ということだ。情けない人たち。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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