庶民が払え。日本人富裕層の納税額が米国の半分以下という不公平

 

日本の金持ちは“名目上の税率”は高い

ここで大きな疑問を持った方も多いはずです。「日本の金持ちは世界でもっとも税負担が大きい」ということを、政府や財界がよく喧伝してきたからです。確かに、日本の金持ちは“名目上の税率は高いのです。先進国の最高税率は次のようになっています。

日本  :45.95%(復興税0.95%を含む)
アメリカ:37.0%
フランス:45.0%
イギリス:45.0%
ドイツ :45.0%

これを見ればわかるように、復興税を加えれば、先進国の中で一番高いと言えます。が、前述しましたように、実際の税収を見ると、アメリカのGDP比の半分以下しかないし、先進国のGDP比と比べても軒並み低いのです。

「税率は先進国では高い方なのに、実際の税収はアメリカの半分以下」

これは非常に不思議な話です。なぜこういうことになっているのか、というと、日本の所得税には、金持ちに対して様々な抜け穴が用意されているからなのです。

日本は投資家天国

日本の金持ちの税金の抜け穴で、代表的なものは、株の配当所得です。以下のように日本の株の配当所得の税金は、実は先進国でもっとも安いのです。

配当所得に対する税金財務省サイトより

 

日本  :15%
アメリカ:0~20%
イギリス:10~37.5%
ドイツ :26.375%
フランス:15.5~60.5%

アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスと比べても、日本の税率15%というのは明らかに安いです。イギリスの半分以下であり、ドイツ、フランスよりもかなり安くなっています。あの投資家優遇として名高いアメリカと比べても、日本の方がはるかに安いのです。

日本では、本来の所得税の最高税率は45%ですが、配当所得は分離課税となっているので、どんなに高額の配当があっても15%で済むのです。分離課税というのは、他の収入と切り離して、配当所得だけを別個に計算することです。分離課税の最大の特徴は、いくら収入があっても税率が高くならないということです。配当所得は、「収入が高い人ほど税金が高くなる」という所得税のルールから除外されているのです。つまり、配当所得は何十億円、何百億円の収入があろうと、税率は15%なのです。

普通、個人の所得税というのは、さまざまな収入を合算し、その合計額に見合った税率を課せられるようになっています。たとえば、サラリーマンや個人事業などの収入があった場合は、所得の合計額が4,000万円を超えた場合は最高税率の45%となっています。しかし、配当所得の場合は、他の収入と合算されることはありません。だからどんなに配当をもらっていてもわずか15%の税金で済むのです。つまり額に汗して働いた場合、最高で50%の税金を払わなければならないのに、株を持っているだけでもらえる配当所得にはわずか15%しか課せられていない、ということです。

一つの会社の株を個人で3%以上保有している大口株主の場合は、20.42%となっています。が、この大口株主の場合は、地方税5%が課せられませんので、実質的に他の株主と同様なのです。

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