【書評】認知症に拍車をかける、周りの人間の「余計なお世話」

 

孤独死で何が悪い」というのは大塚。人のいるところでなきゃ、死んではいけないのか、と。孤独死は「社会や国のせいだ」「家族が悪い」という論調で、「人は必ず誰かの見ているところで旅立つべきだ」といった「あるべき論」が盛んなことを、高齢者の現場で奮闘する大塚は苦々しいと思っているようだ。

一人、あるいは高齢者同士の暮らしは、少々体調が悪くても自分で動かなければならないから緊張感がある。一見苛酷にみえても、老化防止や認知症の進行を防ぐ特効薬である。周囲の人が助けたり、施設にいれてしまうと、それまで自分なりにやって来た生活全般が人任せになる。気力が失われ、体力が低下する。認知症に拍車がかかる。よけいなお世話が何もできない存在を作り出す

「認知症の方の言動は全部、その人なりの理由があります。本人にとって正しいことなんです。だから、周囲はすべてを受け入れて対処するしかありません。となれば早期診断は、ご家族が対処の仕方を早く学べるという意味でメリットがある。認知症のいちばん辛いところは、本人はともかく周囲がそれをなかなか受け入れられないという点ですから」。年寄りのいる家族、読むべし。

この対談は、老人の取り扱い説明書として有効である。「高齢者の認知症の始まりは、周囲は何となく分かる。何となく雰囲気が違う、人柄が変わったように思える、と感じたら認知症を疑ったほうがいいかもしれない」「75歳より前に死んでしまえば認知症になる可能性がぐっと減る」いいね。

編集長 柴田忠男 72歳

image by: Shutterstock.com

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