生きたお金を循環させる。地域の「人のつながりづくり」の極意

 

補助金を受け取るということは、事業計画を立てて、しっかり事業を行い、事業報告も必要になりますので、それなりに大変ですが、それによって、1マンションの試みに終わるのではなく、他の地域で取り組む場合のヒントにもなります。

それにしても、この「30万円」って、なんて生きたお金なんでしょう。1つのマンションから地域の様々な人、活動に流れて循環しています。何百万も税金を使って、外部からどっと人が入って、調査や研究のためのモデル事業をしても、結局、報告書は立派だけど、お金が地域で循環しないし、その地域で継続的に人のつながりが育つことにはつながらない…というような私から見ると残念なお金の使い方に比べると…です。

そして、ここでの活動は、決して補助金頼みではありません。参加する側も、それ相応の費用は自分で負担するような習慣付けをしています。お金を払うことは、自分が主体的にかかわるということの確認でもあるからです。

地域の中で、それぞれが自分の得意を活かしながら、できる範囲で協力し合い、いろいろなチャンネルで人のつながりが広がる…それによって、お互いを知り合うことになり、助け合いのマインドが生まれる…そこに心がこもったお金が循環する…。

ぜひ、自治体には、こういうお金の使い方をしてもらいたいし、それを受ける側も、人がどんどんつながり、お互いの理解が深まるような生きたお金の使い方ができるようになれば…と思います。このお金の循環は、私が描く、金融資本主義の終焉後に来るコミュティ型社会」のお金やサービスの回り方の原型じゃないかな…そんな気がするのです。

株価や為替の変動で動く巨額の数字でしかない「お金」と、こうやって、地域の中で人の顔が見え人の心が伝わりながら循環するお金」は、まったく別物に思えます。まさに『エンデの遺言』の通りです。『エンデの遺言』…また読み直したくなりました。

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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