異常事態。産業革新投資機構の役員退陣を新聞各紙はどう伝えたか

 

孫ファンドは禁止されることに?

【毎日】は1面トップに3面の解説記事「クローズアップ」、6面は「ミニ論点」で識者2人の意見。見出しから。

1面

  • 革新機構 民間役員総退陣
  • 高額報酬契機 社長、国を批判

3面

  • 革新機構 空中分解に
  • 民間役員総退陣
  • 「変節」経産省に不信
  • ベンチャー投資 頓挫

uttiiの眼

《毎日》は、「高額報酬」と「投資手法」の両方についてバランス良く書いている。「高額報酬」に関しては、年間最大1億円超の形で示された当初の報酬規定案は、「財務省から了解を得ていないことが判明」し、田中社長は「政府内で調整が済んでいないという疑念」を持ち、そして嶋田次官が総額3,150万円を提示したことで田中氏は自らの進退にも言及し、両者の対立が決定的になったとの経緯。

「孫ファンド」については、どうも、経産省側は田中氏らが孫ファンドを使って自らの収入を増やそうとしているとの嫌疑”を掛けたらしく、記者会見で田中氏は、「我々はお金のためにここへ来たわけではない」と語り、情報開示について、孫ファンドの報酬も開示する意向を提案していたと説明しているようだ。

もう1点。今回、辞任を表面した中には、取締役会議長の坂根正弘氏が含まれている。コマツ相談役の坂根氏は「経団連の元副会長で政財界に幅広い人脈を持つ」人。新たな人材を集める求心力となるべき人で、この人まで失った影響は非常に大きいと《毎日》は指摘している。

また記者は、政府はJICへの管理を強めることになり、「孫ファンド」の設立を禁じたりすれば、機構の趣旨が変わってしまう懸念があるという。「田中氏らの辞任で経産省とJICの対立自体は収束に向かうが、産業活性化という宿題は一段と重くなった」と締めている。

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