阿曽山大噴火が裁判所で見た「検察官の逆鱗に触れた無免許運転者」

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裁判傍聴芸人として名高い阿曽山大噴火による連載『裁判妙ちきりん』第19回!法廷でしか味わう事のできない裁判のリアルをお届けします!

罪名 道路交通法違反

弁護人・検察官・書記官が着席して、裁判官がやってくるのを待っているところ。そのなかで、ものすごく気になることがひとつあったんです。
それは、被告人の格好
フード付のグレーのパーカー、黒のチノパン、スニーカーという服装。
被告人は保釈されているし、被告人の服装に指定はないので何も問題はないんだけど、フードを頭の上からすっぽりとかぶっているんです。

傍聴人は帽子をかぶったまま傍聴するのは禁止されているけど、被告人はどうなんだっけ?

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しかも、帽子じゃなく、フード。書記官も注意しないし、問題ないのかなと思ってるところに、裁判官が入廷。そのタイミングとほぼ同時にフードを脱ぐ被告人。何事もなく、裁判スタートです。
事件は今年の2月17日。東京都台東区の路上で、被告人が無免許で車を運転したという内容。
検察官の冒頭陳述によると、去年12月に罰金刑の判決を受けた同種の前科が一犯。それと交通違反歴が9回だという。
去年6月に免許停止処分になり、その免停中に車を運転したことで免許取り消しになっていたとのこと。

そして、犯行前日。被告人はSNSで知り合った女性と千葉県松戸市で待ち合わせし、被告人宅に泊まってもらったという。

翌日夕方、被告人はその女性を乗せて、JR上野駅まで送っていこうと車を運転。

その途中、進路変更違反でパトカーに止められ、無免許が発覚したというのが事件の流れ。

この冒頭陳述が朗読されている間、被告人は足を組んだり、落ち着きがない感じ。もちろん、被告人席で足を組むのは禁止じゃないけど、腰と膝の部分が直角でビシッと座っている被告人が多いので、リラックスしてるようにも見えるかなと。

少なくとも、足を組みながら冒陳を聞く被告人を“深く反省している”と思う人はいないんじゃないかね。

そして、被告人質問。

まずは、弁護人から。

もちろん、被告人席から証言台に移動した被告人は着席後、再び足を組んでいる、と。

弁護人

「去年6月30日に免停になり、免停中に原付バイクを運転したと?」

被告人

「はい」

弁護人

「それで去年10月10日に免許取り消し」

被告人

「はい」

弁護人

「今回運転してた車ですけど、いつ入手したものですか?」

被告人

「大体……(去年の)10月前くらい」

弁護人

「無免許になる前に友人を通して」

弁護人

「友人から売ってもらったと?」

被告人

「いや、友人に買ってもらいました」

車を買ってくれる友達がいるなんて。

弁護人

「車を買ってもらうときって、もうすぐ免許取り消し処分になるってわかってた?」

被告人

「はい」

弁護人

「じゃあ、なんで入手したの?」

被告人

「(友人に)前から『こういうのがあるんだよ』って言われてて、友情もあるので」

車をおごってくれる人の友情は裏切れないですよね。

弁護人

「今後、車の運転はどうします?」

被告人

「いずれ免許を取って運転したいです」

と、免許を再取得して、再犯はしないと約束して質問終了。

次は、検察官からの質問です。

いきなり、被告人の足元を指差して、

検察官

「まず! 足組むのやめてもらっていいですか!

と、激怒。

それは気になってましたよー。

きっと、開廷前から検察官もいろいろ気になってたんでしょう。

組んでた足を元に戻す被告人。

検察官

「あなた、立場わかってます?」

被告人

「……」

検察官

「調書には“去年8月~9月に車を買ってもらった”と。免取になるのわかって、なんで!」

と、大激怒。

すると、弁護人が立ち上がって、

弁護人

「あ、あの、もう少しやわらかくしてください」

と、マッサージ屋さんでの注文のようなお願いです。

これもある意味、“異議あり”になるんですかね。

すると、

検察官

「どうして、購入したの?」

と、幼い男の子に話かけるような口調になる検察官。

被告人

「車が好きで…車の中とか。車好きなので所持欲です」

検察官

「この車はあなた以外に運転することはあるんですか?」

被告人

「ありません」

検察官

「どれくらい、運転してました?」

被告人

「そちら(調書)に書いてあるとおりです」

ボソボソと素っ気ない返事をする被告人と、子供向けテレビ状態の検察官。

この口調のまま、

検察官

「じゃあ、近所のラーメン屋さんとか3回運転したと。10キロとかですかね。車検の記録を元にするとー、あなたに名義変更されてから逮捕されるまでにね、5000キロ走行してるんですよー。今回は松戸から上野だから、およそ20キロ。うーーん、これを250回くらい運転したってことぉ?」

もう完全に小学生向け、算数の番組。

被告人

「いや、してないです」

被告人

「中古車なので、その前の人とか……」

と、モゴモゴと小声になると、

裁判官

「検察官! 走行距離5000キロって証拠はありましたっけ?」

検察官

「車検の記録と逮捕時の走行距離を見比べていただけると」

裁判官

「ん? あぁ、そうだねぇ」

どうやら、客観的事実として5000キロ走ってるみたいです。

検察官

「どうですかぁ?」

被告人

「……」

ま、近所のラーメン屋に行くのに遠回りした可能性もあるしね。

検察官

「交通ルール守る気あるんですかぁ?」

今度は道徳の番組に変わったようです。

被告人

「あります」

検察官

「じゃあなぜ違反するんですかぁ?」

被告人

「一度ならいいのではと思って」

検察官

「今回無免許運転2度目ですよ~。2度目はいいんですか?」

被告人

「いや、ダメです」

と、グリグリ追いつめて質問。やさしい口調がよりいっそう怖かったような気も。

裁判官からの質問はなく、検察官は懲役5ヶ月を求刑。

そして裁判官が、「では、このまま判決を」というので即決です。

結果は、懲役5月執行猶予3ヶ月でした。

さすがに次にやったら実刑でしょうかね。

──もし、この裁判がフィクションだったとして。私は被告人の言葉に対して───

SNSで知り合った女なら、「無免許運転の車に乗せやがって」と思うだろうなぁ。

ま、11月21日に実際に行われた裁判なのだが

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