私は、匠たちの共通点が、世に知られぬ原因ではないかと推察しています。“寡黙”。職人気質だから仕方がない、と言ってしまえば、それまでですが。黙って技を磨く。良いものを作っていれば、人は集まって来る。職人の美徳のように言われた時代もありました。
しかし、かつてのようにはいかないのです。溢れる情報に埋没してしまい、誰にも気づかれずに消えていくこともあります。匠と言えど、声をあげなければならないのです。「俺はここにいるぞ!」と、主張することが求められるのです。
声を届けるための情報技術は整備されているので、さほど苦労はありません。とにかく、声を出すことが重要です。こうした小さな匠たちの技は、日本のみならず、世界にも充分通用するものです。どんどん紹介していけば、必ず興味を示すでしょう。
海外の人にとって、日本は神秘の国。美しい匠の技に、惚れ惚れするはずです。これを活かさない手はありません。国をあげて支援すべきなのです。
技術者を引き抜かれ、世界トップの座を韓国に奪われた家電業界。技術提供の名のもと、中国に技術をパクられた新幹線。人の住めない街を作っておいて、その技術を海外に売り込もうとする原子力発電。間抜けな大手企業ばかりを支援していても、日本にとって何のメリットもありません。
そんなことよりは、数え切れないほど存在する、小さな匠を世界中に自慢してみれば良いのです。匠のいる国。それが日本なのだ、と。そして、匠の技は他の国では真似できないことを改めて認識しておくべきなのです。
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