進まぬ南北統一に国民もやきもき。韓国在住邦人が振り返る2018年

 

長く膠着状態が続いているので文大統領の人気もかなり下がってきている。きのうも同僚の教授と昼飯をともにしたのだが、「ムン・ジェインがしたこと、何があるんだよ?」とちょっと喧嘩腰で筆者にのたまうのだった。韓国人でもない筆者にそう言われても返す言葉もないのだが、「いや、ソウル火の海説がなくなっただけでも、手柄っていえるんじゃないのかね」とわたし。核をぶっ放すぞとわめいていた首領様。勿論本当に核がソウルに飛んでくると考えている人はいなかったけれど、しかし尋常ではないあの首領様のこと、いつなんどき何があるかわからない、というのも大方の認識だった。上述の繰り返しになるが、金玉が縮み上がっていたことは今ここに白状するしかない。

それが監視警戒所(GP)撤去で南と北の軍人が丸腰でお互いのGP撤去跡を検証するというこれまでは想像もできなかったことが現実に起きている。決して筆者はムン・ジェインのファンではないけれど、このことだけでも偉大なる成果といえる。さらに12月17日には南北鉄道連結のための基礎調査が終わり、12月26日には南北鉄道連結のための着工式が行なわれた。鉄道が連結されたとき、北の兵士が汽車に乗ってどっと南に攻め入り瞬時に南を赤化統一してしまうんじゃないのというギャグも今、南ではちょっと流行っている。でも、まあ、そうはならないことを願っているしならないであろうけれど、保守的な人々の中には結構本気で憂慮している方々もいらっしゃる。

南北関係以外では、1月末に一人の女性検事がJTBCという韓国一の有名テレビに出てセクハラを訴えた「#meToo」の動きが記憶に新しい。これを契機として韓国では「#meToo」の嵐が吹き荒れ、多くの男たちが芸能界を去り、名誉を汚し、命まで落とす事件も発生した。ノーベル文学賞の候補にもなってるような韓国文学界の重鎮も「#meToo」を契機に失脚していった。あらゆる分野で男たちのセクハラ問題が提起された。浄化された社会ができることを願う次第だ。女性が何も気にすることなく「普通」に生きられる世界が具現されなければならない。

一方、対日関係としては、10月30日に出された韓国の大法院(=最高裁)の強制徴用賠償判決問題がある。「賠償せよとの判決だった。日本は当然のことながら強い不快感を表わした。この判決には筆者も正直驚いた。親韓的で有名な黒田福美氏も同様のようだ。なにしろ1965年の請求権協定を覆す判決となっているわけだから、どれほどの日本人がこの判決を快く思っているだろうか。韓国でもそのような立場でものを言う人がいるくらいだ。「解決している問題なのになんでまた今になって蒸し返してくるのか」という人(韓国人)が実際にいるのだ。勿論ごく少数派ではあるけれど。

ただし12月に入って、徴用賠償判決の話題がピタと報道に出てこなくなっている。韓国政府がマスコミに圧をかけているのか、自らすすんで報道しないコンセプトを立てたのか。わからない。テレビ新聞が報道しなければ、韓国の人もあまり興奮せずに時間の流れに任せることができるのだろうに。テレビ新聞がばんばん報道するから、ありもしない敵愾心が自ずから湧き上がってくることになる。理由はわからないけれど、今現在のようにあまり煽った報道をしないよう、韓国のマスコミ界にはお願いしたいところだ。

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