違いがわかればなお楽し。茶の湯と三茶匠を知って散策する冬の京

 

時代が変わり江戸時代、徳川将軍家に利休の茶を継いだのは古田織部や弟子の小堀遠州でした。

三千家は忠実に利休の手法を継承していますが織部の手法は利休と一線を画します。そして遠州は織部の手法をさらに発展させています。

それぞれの違いを細かい部分で見てみましょう。例えば、冬に樹木を霜から守るために茶室の庭園に敷松葉を施すのですが、流派によって違います。利休は露地の掃除を茶会の数時間前にし、散った落ち葉の自然の姿をめでました。織部は松葉だけをより揃えて蒔きました。遠州は巧妙に模様をつけて落ち葉を敷きました

飛び石に関しては、利休は自然の河原石ばかりを好みました。織部や遠州は切石を定規で測って加工したような手水鉢を用いています。

植栽や石の色彩に関して利休は、極力有彩色を廃しました。織部は豊かな色彩を導入しています。そして遠州は、それをさらに大量に用いました。

このように利休から織部、遠州と手法が継承されるにつれ、露地の意匠が日本古来の自然風景式から整形式へと変化を遂げています。

作法の置き合せもそれぞれ少し違っています。利休の時代は道具を水平に並べるのが常識です。織部は「何れも角懸て」といって、常に角度をつけて道具を置き合せることを強調しました。遠州は角度をつけて置くだけでなく、30度や45度と角度にまでこだわりました。

茶道に詳しくなくても、この程のほんの少しの基礎的な知識があるだけでも、見えてくる景色か変わってきます。流派の違いによる茶室や露地の特徴などがわかると見所がたくさん増えます。その分楽しみも増えることでしょう。

京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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