【書評】日本人が殆ど知らない、早期がんは95%が治るという事実

 

日本はモルヒネの使用量が先進国で最低レベルである。日本のがん患者は先進国ではトップクラスの、世界平均以上の激しい痛みに耐えている。がんの痛みを取り除く基本は、モルヒネあるいは類似薬物を薬として飲むという単純なものだ。しかしこの方法(WHO式がん疼痛管理プログラム)を知らない医師も非常に多いようだ。無慈悲な医療者側には、患者の痛みに対する関心が乏しい。

日本人男性の発がん原因のトップは喫煙で約3割男女合わせた日本人全体の1位は感染症である。B型肝炎ワクチンとHPVワクチンは、多くの国で定期接種が勧められているが、日本では極めて消極的だ。学界が接種を推奨する一方で、国としては積極的に推奨を行わないという不可解・無責任な状況が続いている。

遺伝はがんの原因の5%に過ぎない。がんは宿命ではない。2/3は生活習慣で、早期発見のカギはがん検診である。生活習慣を整え、検診をきちんと受ければがん死のリスクは大きく減らせる。ほとんどのがんは、見つかってから時間が経つほど転移する割合が増える。早期発見のためには、検診を受けるしかない。

がんになったとしても、緩和ケアを受ければ最後まで自分らしく生きられる病気なのだという。適切な緩和ケアが前提だが、「がんは人生を仕上げ、愛する人たちとの時間を与えてくれる病気です」。あまり行きすぎた治療をしない限り、寝たきりにはならない。このへんは医者次第のような気がするが。

対談で現れた養老孟司さんは、いつのとおり「がん検診も人間ドックも受けないで起こってくる結果は、自分で背負うしかない。がんになったらなんて、そんなこと気にしてません。余計なお世話というかんじ」と言って笑う。がんは全体で65%が治る早期がんの場合が約95%。検診を受けよう。

編集長 柴田忠男

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