北方領土を返還する気ゼロ。それでも日露関係を深めるべき理由

 

日本は中ロに勝てない

日本には領土問題が三つあります。すなわちロシアと北方領土問題韓国と竹島問題中国と尖閣、(中国によると)沖縄問題。これ「領土問題」と一言でいいますが、本質はずいぶん違います

ロシアは、北方4島を実効支配して現状に満足してる。韓国は、竹島を実効支配して現状に満足している。中国は尖閣を実効支配していないので不満である。つまり、領土問題でロシア、韓国と日本が戦争する可能性はありません。日本から攻撃すればありえますが、日本はしかけないでしょう?

しかし、中国は現状に不満なので、日中戦争が起こる可能性はある。その時、戦争参加国はどうなるのでしょうか?

  1. 日本アメリカ 対 中国
    これは、日本の必勝パターンです。ですから、日本は、アメリカ大統領がどんな人であろうと、日米関係を第1に考え、良好な関係を保っておく必要があります
  2. 日本 対 中国
    日本で反米派が力を増し、日米関係が悪化すればこうなります。このパターンで、日本が勝つのは難しいでしょう。おそらく尖閣は、中国に奪われます。「日米関係悪化」、これ、バリバリありえますから要注意。皆さん、「トラストミー」鳩山政権時代に、どれだけ日米関係が悪化したか、決して忘れないでおきましょう
  3. 日米 対 中ロ
    このパターンでは、どちらが勝つかわかりません。しかし、そもそもアメリカが尖閣を守るために中ロ二大国と戦うでしょうか?私は、難しいだろうと思います
  4. 日本 対 中ロ
    このケースで、日本に勝ち目は1%もありません

こう見ると、日本は、

  • 日米 対 中国

という必勝パターンを常に維持しておく必要がある。そのために必要なことは二つです。

  1. アメリカと良好な関係を維持しつづける
  2. 尖閣有事の際、ロシアが中国側にたって参戦しないようロシアと良好な関係を保ちつづけること

もし中国が、「尖閣に侵攻すれば、必ずアメリカがでてくるだろう」「ロシアは、日本と仲がいいから助けてくれないだろう」という予測をたてるなら、尖閣侵攻はないでしょう。逆に、「尖閣に侵攻しても、アメリカは日本を助けないだろう」「ロシアは、中国の味方だろう」と予測すれば、戦争になる可能性が高くなります。

というわけで、領土問題が進展するかどうかに関わらず、対中国で日本はロシアと友好的関係を維持するべきなのです。これ、決して私が28年モスクワに住んでいたからいうのではありません。あのルトワックさんも同じことをいっています。彼は、その著書『自滅する中国』の中で、日本がサバイバルできるかどうかは、ロシアとの関係にかかっていると断言しています。

もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。
(『自滅する中国』p188)

というわけで、安倍総理の対ロ外交、うまくいっています。もう少し、「私が領土問題を急いで解決する!」という欲望を減少させた方がいいとは思いますが。

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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