なぜ、賃金は0.6%UPしても年金額は0.1%しか上がらないのか?

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平成31年度の年金額が昨年より0.1%のアップとなったことをご存知でしょうか。喜ばしいことのように思えますが、実は「年金の価値」は下がっている状態なのだとか。その詳細と、鍵をにぎる「マクロ経済スライド」について、年金アドバイザーのhirokiさんが今回、自身の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』で詳しく解説してくださっています。

平成31年度年金額は0.1%上昇へ!ただし年金の価値は下がる

最近、厚生労働省発表の年金額改定の資料が発表されて、年金額が去年より0.1%アップとなりました。

平成31年度年金額改定(厚生労働省)

大体いつも、毎年1月下旬あたりに新しい物価や賃金の発表と共に年金額の発表がある。これをもとに年金額の変更が分かる。今年は割と発表が早かったですね^^;

老齢基礎年金で言えば今年度は779,300円月額64,941円)が満額でしたが、平成31年度は0.1%(1.001)上がって780,100円月額65,008円)に上がる事になります。計算式としては、

  • 平成16年度本来水準満額780,900円×(平成30年度改定率0.998×1.001=0.999)=780,100円

例えば、年金保険料を20歳から60歳までの間に350ヶ月納めてた人なら平成30年度の老齢基礎年金が779,300円÷480ヶ月×350ヶ月=568,240円月額47,353円)でありました。しかし、779,300円から0.1%アップして780,100円になったので780,100円÷480ヶ月×350ヶ月=568,823円月額47,401円)にちょっと上がってるという事ですね。

厚生年金は過去の給与(標準報酬月額や標準賞与額)に再評価率という、過去の貨幣価値を現在価値に直して年金額に反映させる方法を取っています。たとえば平成8年度の給与(標準報酬月額)が40万円×平成8年度再評価率0.993=397,200円だった人は、その再評価率の0.993×1.001=0.994と改定されて年金額に影響する。毎年度の給与標準報酬月額にかける再評価率が過去の年度ごとに違いますので、それらの再評価率に0.1%(1.001)をかけて過去の給与を改定するわけであります。

平成8年度に12ヶ月間働いて、その平成8年度の厚生年金だけを算出するなら40万円×0.993÷1,000×7.125×12ヶ月=33,961円だったら、40万円×0.994÷1,000×7.125×12ヶ月=33,995円になる感じ。あまりにも膨大な作業なので過去の給与の改定は手作業ではやらないです(笑)。ただし直近3年度の再評価率の改定方法はやや違うので、直近の記録がある人は必ずしも0.1%というわけではないので注意

加給年金額と諸々の年金額も0.1%上がる。金額の変更は今年4月からですが、実際の振り込み金額に影響が出るのは6月15日支払分の年金(前2ヶ月の4月分と5月分)からです。

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