なぜ、賃金は0.6%UPしても年金額は0.1%しか上がらないのか?

 

マクロ経済スライドってなに?(厚生労働省)

このマクロ経済スライドは少子化による現役世代の減少と、平均余命の伸びという年金にとっては負担増となる要因を年金額の引き上げの元となる物価や賃金の伸びから差し引いて年金額の引き上げを抑制するもの。

ちなみに年金額そのものからは減額されない。たとえば、その年に使うマクロ経済スライドが0.9%だったとして、賃金の伸びが今回のように0.6%だったら0.6%-0.9%=マイナス0.3%になるが、この0.3%は年金額から引かない。かなりザックリ計算して示しますが、779,300円-0.3%=776,962円とかにするのではなく、年金額を据え置いて779,300円となる。そうなると前年度の年金額に据え置かれるから見た目では年金額が下がったとかそういうのはわからない

翌年また物価や賃金が上がった時にその使えなかった0.3%を使う(税金の青色申告の繰越控除みたいな感じ)。この改正はマクロ経済スライドのキャリーオーバーと呼ばれ平成30年度から始まって、平成31年度に初めて使われる事になる。

  • 簡単に言うと、現役世代の負担を際限なく上げてしまうと現役世代の生活も厳しくなるので保険料上限を決めました
  • 毎年入ってくる保険料財源はもう限られている
  • だけど高齢化は進んで高齢者が増える(年金負担増)。現役世代も少子化で少なくなる
  • そうなると年金が保険料収入内で収まらなくなる
  • だから、毎年マクロ経済調整で年金額を引き上げる要因である物価や賃金の上昇から、毎年発表されるマクロスライド調整率を差し引きながら年金額の価値を落とす
  • 価値を落としていくと、毎年入ってくる保険料負担と年金額が将来的には一致して年金が保険料収入内で給付が維持可能となる
  • 一致したらマクロスライド調整は辞めて、その後は現役世代の力である賃金の上昇に年金額も合わせて無難に維持していく
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