なぜ、賃金は0.6%UPしても年金額は0.1%しか上がらないのか?

 

さらに、平成16年の年金改正の時に今まで5年ごとの年金額再計算の度に夫婦の年金が現役男子の平均賃金の60%以上(よく所得代替率と呼ばれるもの)を確保するために必要な保険料額を決めていくというやり方から、もう保険料の上限を決めてその入ってくる収入(保険料)の中で年金給付を行おうという保険料水準固定方式というのが採用された。厚生年金保険料でいえば、平成29年9月に上限18.3%を迎えた(18.3%を事業主と労働者で折半して支払うから、個人負担は半分の9.15%)。こうすれば、入ってくる収入(保険料)の中で給付(年金の支給)をやればいいから破綻する事が無い年金額の価値は下がるけども…

その平成16年改正までの年金の支給のやり方は、必要な年金を支給するために保険料をどのくらい取るべきかという受給者中心の考え方だった。それが、受給者を支える現役世代の負担限度内で給付するという形に180度変えられた。

だって現役世代としては少子高齢化でどこまで上がるかわからない保険料負担に対して世間の不安が凄く大きくなっていったから。本当は年金改革は平成12年で終わるつもりだったが、平成14年将来人口推計により更に少子高齢化が進むという結果になり、平成16年改正でまた年金額計算を行わなければならなくなって平成16年改正で抜本的改革が行われた。

ただし、保険料の上限を決めてしまったけれど、少子高齢化はこれからもどんどん進む(今は高齢化率28%くらいですが2060年頃には40%近くになる見通し)。つまり入ってくる収入保険料は変わらないのに受給者が増え続けて負担がまだまだ増えてしまうわけです。そこで平成16年改正の時に導入されたのがマクロ経済スライド調整。

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