なぜ、賃金は0.6%UPしても年金額は0.1%しか上がらないのか?

 

そういえば世間では年金積立金に話が行きがちですが、年金は年金積立金で主に支払ってるわけじゃない。運用益が下がろうもんなら年金貰えなくなる!って大騒ぎですが、そこは大騒ぎする所じゃない。いうなれば本質の外の話。そんな部分を熱く議論したところで単なる雑学のようなもの。年金貰える貰えないの話は年金積立金でやる意味がない

究極な話、年金積立金なんて年金がマクロスライド調整で給付と負担が均衡するようになればほとんど必要ない。日本は3~4年分くらいの積立金持ってるけど、多すぎ。EU諸国あたりは2~3ヶ月分とかそんなもん。そもそも運用って上がったり下がったりしながら長期的に見ていくものですよね。おかしな不安の煽りには振り回されないようにしましょう。

また、安倍内閣で成立された平成25年の社会保障改革プログラム法(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律)により、マクロ経済スライドの仕組みの在り方(進行中)、短時間労働者の厚生年金拡大(進行中)、高齢者の就労と年金受給の在り方(進行中)、高所得者の年金給付や年金課税の在り方を見直し(配偶者控除がちょっと変わった)の4つを柱に年金制度の維持の推進が図られている。

その4つの柱の後の改正の検討として、20歳から65歳までの国民年金保険料納付により今の老齢基礎年金額の満額より多く支給する場合の試算(オプション試算という)が平成26年の財政検証時にされてますが、均衡する所得代替率が50%程度から57%まで上がって給付改善の効果が高い事が見込まれているのでこれからの年金改正としては是非検討の価値は大いに有りだと思っています。

さらに、67歳までの47年間国民年金保険料の納付が出来て老齢基礎年金が増額し、繰下げ効果も考慮した場合は所得代替率の50%程度が68%まで非常に高い給付改善の効果が見込まれている。

平成26年に検証された財政検証。5年後の今年の平成31年は新しい財政検証が出される年でもあります。そこも今年は注目のニュースになってくると思います。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
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