なぜ、賃金は0.6%UPしても年金額は0.1%しか上がらないのか?

 

受給者が増えても現役世代が減ってもその分年金額がマクロ経済スライドによって抑制されるから負担の増大が抑制される。現役世代が減ると一人一人の保険料負担が増大しますよね(ここはもう上限固定はされましたが…)。平均余命が長くなればそれだけ高齢者が増えて年金額の負担が増える。そういう日本経済全体に影響を及ぼすマクロ的な経済要因を年金額を引き上げる物価や賃金の伸びから差し引いて年金額の引き上げを抑制するわけです。

マクロ経済スライドで年金額の実質的な価値を落としながら、保険料負担と年金給付が均衡する所まで持っていこうとしてるのがマクロ経済スライド。しかし、いつまでもその抑制策をやり続けるわけにはいかないから、生活資金としての役割を持つために所得代替率が最低でも50%以上になるように目標とされている。

厚生年金保険料率が18.3%上限というのは、夫婦の年金が現役男子の平均給与の50%以上という目標を元に出された保険料率。もし50%以上を確保できない見通しになるようであれば所要の措置を講ずるという事になっている。まあ…少子化もすこーしずつ改善傾向ですし、女性や高齢者の雇用拡大が進んでるので結構いい方向に行ってるんですけどね。

現在は本来の保険料の負担水準以上の年金給付なので、マクロ経済スライドで年金額の価値を落としつつ所得代替率50%ちょいくらい(今は60%くらいなので)で給付と負担が均衡する所まで持っていこうとしてる状態。概ね100年以内の間に均衡するようにマクロ経済スライドを行いながら、その間給付に支障が無いように年金積立金の元本も補足的に取り崩しつつ年金給付を維持していく形となっています。

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