こう言ってしまうと、何だかくだらないことのようにも聞こえるがそうではない。彼女たちは、自分のことを聞かされているようで、その実自分のことを聞いてもらっているのである。このことは鏡写しの自分を見ているのにちょっと似ている。
そもそも閉鎖的対面空間においては、相手の言うことに共感さえできれば、たとえそれが一方的な物言いだったとしても、それは即ち共有となる。共有である以上は、相手の言葉は同時に自分の言葉でもある。先に「自分のことを聞かされているようで、その実自分のことを聞いてもらっている」と言ったのはこの意味である。つまり、評判の占い師というのは、評判の聞き上手ということである。
これが重要なのである。一般的に言われていることだが、女性は男性よりも社会性、平たく言えば人間関係を重んじる傾向にある。故に、それを踏み壊すリスクを冒してまで自己の意見陳述をすることは敢えてしない。そんな彼女たちにしてみれば、聞き上手であること自体有難い存在なのであろう。実際占いとは名ばかりで、その実人生相談であることが多いのではないだろうか。
とすれば、世の男たちももう少し共感の気持ちをもって彼女たちの言葉に耳を傾けさえすれば、モテるようになる、とまでは言えないが、少なくてもいくらか重宝がられるのではないだろうか。
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